2016-11-22

透き通る手品師



安福望さんと柳本々々さんの共著『きょうごめん行けないんだ』が楽しみすぎる。

わたしはひそかに安福さんの絵を、柳本さんの言葉にぴったりだと思っていた。柳本さんの饒舌を、安福さんの無言(無口、ではない。念の為)が、そっと見守るように包み込むのを見たいな、と。

安福さんの絵には迸るようなコンセプトがつまっているけれど、そのコンセプトは画家自身の才気や手柄として意識されることはなく、どこまでもまっすぐな贈り物として見る者たちの心に届けられる。安福さんというのは、それを出した自分にではなく、手の上の鳩そのものにみんなの歓声を集める力をもった、透き通る手品師みたいな絵描きだ。

『きょうごめん行けないんだ』では柳本さんの言葉は迷走するかもしれない。いや、確実に生き生きと迷走するだろうし、ことによると奇妙なこだわりを見せながら、愛の挫折に追い込まれてゆく可能性だってある。そのとき安福さんは、その迷走が困った風には見えないよう、ちょん、と柳本さんの頭に三角帽をのっけてあげるだろう。あるいは肩に、白い鳩を。起きてしまった「愛の挫折」を、もっと大きな愛でそっと包み込むような手つきで。