2016-11-26

フランスの子供のための俳句参考書


散歩の途中、知らない本屋を見つけた。ガラス越しに覗くと、割と広そうな店内である。とりあえず中を一周してみようと思い足を踏み入れたら、いきなりキッズコーナーに『わたし、俳句を書くよ』というタイトルの参考書が積んであった。


日本のイラストレーションを意識した表紙。えらくまじめというか、なんというか。左隣のフランス風イラストレーションがわがままいっぱいにみえる。


左ページは冬の歳時記をかんがえる問題。色、果物、遊び、衣類、事物、祭、匂、動物、遊興といったテーマから連想する語を挙げてゆこうというもの。右ページは俳句の575構造の説明。きちんと音節を数えている。


左ページは《季語は何の役に立つのか?》について、紀貫之による詩の定義まで遡りながら解説している。右ページは芭蕉の人生の紹介。


暮らしを観察することの大切さについてはかなりページ数が割かれていた。それはそうとラーメンにしかみえないこれ、たぶん年越し蕎麦なのだろうが、日本人だったら、あまり絵心のない人でも蕎麦の麺の感じがこうはならないような気がする(このイラスト自体は素敵。風雅で)。


切れ字の説明。フランスでは切れ字のひとつの方法として「!」を用いる。本書によると切れ字というのはワンダーの導入であり、仮に「かたつむり/ゆっくりのぼる/富士の峰(Petit escargot / va doucement pour monter / sommet du Fuji)」という句をつくった場合、切れ字の位置は
かたつむり
ゆっくりのぼる
富士の峰!
ではなく、
かたつむり
ゆっくりのぼる!
富士の峰
とするのがいいですよ、富士よりも、3776メートルもあるこの火山をのぼるかたつむりの方こそ感動だから、とのこと。超わかりやすい。で、たぶんこの切れ字理論の進化系が、


ただならぬ海月ぽ光追い抜くぽ  田島健一

なのだなと独断する。この辺、詳しく知りたい方はどうぞ「ハロー・ワンダーあるいは道徳の原理」をお読みください。