山本勝之のあの凄いの、あれ、なんて言ったかな…と思いながら
「薔薇色 金玉」
で検索してみたら、すぐ見つかった。
素寒貧な男の色気と、狂気と、年の暮れ感。
「薔薇色 金玉」
で検索してみたら、すぐ見つかった。
街角に薔薇色の狼の金玉揺れる 山本勝之
素寒貧な男の色気と、狂気と、年の暮れ感。
発語して光をにごす須臾となる 小津夜景
ヴァカンスやすべからく季節崩(く)ゆるべし 小津夜景
さるびあに痺れる指(および)すべからく世界は意味にそびえたつべし
惑星に齢あるべし 余白なきスタニスワフ・レムの日記よ
そびゆべし囀はわが死後の木に 小津夜景
underdog(まけいぬ)になるためだけに登場し姫川亞弓まさしく天才 堀⽥季何 (*姫は正字)
アンリ・カルティエ=ブレッソン
決定的瞬間といふ宣託を遺して朝の螺旋階段 佐山哲郎
野枝さんよ虐殺エロス脚細く光りて冬の螺旋階段 福島泰樹
なにも莫いなにも無ければ秋を売る男と成りて我は候 福島泰樹
年をとると、クリスマスも平日も、胃袋の大きさは同じ。
なななんとなんばんぎせるなんせんす 四ッ谷龍
仮の家また仮の家また躑躅 〃
散歩者は繭になったり時計になったり 四ッ谷龍
君は一本の川だ春の音(おと)秋の音つらね 四ッ谷龍
君は一本の川だもう一つの川がある
君は一本の川だとても新しい流れ
君は一本の川だ崖ふかくしみとおる
君は一本の川だ子供時代を流れ
君は一本の川だ君自身を呑む流れ
君は一本の川だ亡き人もその一部
君は墓石小田急線に乗り西へ 四ッ谷龍
君は墓石アイスマンゴージュース吸う
君は墓石殖えて殖えて町中が墓
君は墓石愛を知らない夏の石
君は墓石夜はゴトゴト笑う石
君は墓石元はさまよう星のかけら
髯侯爵鍋をパンツとして穿きぬ 四ッ谷龍
うすごろもはらりといらんいらんの木 四ッ谷龍
亡き人の呼吸(いき)も聞こゆる森林浴
大空を鳩にあずけて薔薇づくり
露の世にきりりと弾けりヴァイオリン
ティボー弾く古き音色へ参加しぬ
子供等の脱いだ靴へと参加しぬ 四ッ谷龍
ゆうぐれのゆううつの眼へ参加しぬ
ガラス器の花の模様に参加しぬ
白鳩の冷やかな瞳に参加しぬ
そして、やがて、私たちがこの世を去っていったら、
残った者たちが、畠のはずれの、あの青い境界石に座るであろう。
また、彼らが仕事から戻って、テーブルに着くとき
どのテーブルも、水差しの陶器も、語りかけるであろう、
小屋の壁の一つ一つの校木(あぜき)が、語りかけるであろう。
(ジョナス・メカス「古きものは、雨の音」)
おがたまの枝手放せば花は宙(そら) 四ッ谷龍
ゆきなさい海星に生まれたのだから 小津夜景
無政府の夢から覚めてばななの木 長谷川裕
渚なるものが世界にあるらしい 川合大祐
(目を)(ひらけ)(世界は)たぶん(うつくしい) 川合大祐
椅子に居てまどろめるまを何も見ず覺めてののちに厨に出でぬ 森岡貞香
椅子にゐてまどろみし後水差しに水あるごときよろこびに逢ふ 玉城徹
虫の音や我ら遠方より来たる
月犬(白土三平『忍者武芸帖影丸伝』)秋思に沈むケムンパスべし
なむ(赤塚不二夫『もーれつア太郎』)
万緑やけむんぱすよりべしが好き 佐山哲郎
琴線はわが故郷の寒椿
鳥の部品を包む冬麗
うすもののように記憶を脱いでゆく
後影(うしろかげ)を見んとすれば 霧がなう 朝霧が
うつくしう
噓をつくなう
唄うなう
うい奴ぢや さう
裏梅のやう
言ひかけた論より、見なう、花々は虚(うろ)よいざうろたへな残命 小津夜景
あけのちきりに 明けの契りに
すむこゑも 澄む聲も
いさやおほえぬ いさや覺えぬ
まとろみへ 微睡へ
よせゐるふねは 寄せゐる舟は
そらゆめを 空夢を
うたひつくして 唄ひつくして
わかれなん 分れなん
わたしの人生で大太鼓鳴らすひとよ何故いま連打するのだろうか 柳谷あゆみ
遠い太鼓に誘われて
私は長い旅に出た
古い外套に身を包み
すべてを後に残して