2016-12-12

パルクールについて(2)


きのうのつづき。先日『チョコレート・ファイター』の話が出たとき、その人が一緒に挙げていたのがトニー・ジャーの『マッハ!!!』。


武術ができるという点で『チョコレート・ファイター』より好み。あとパルクールの上に香港系カンフー映画(京劇)の動作設計を100%かぶせた演出も、春秋戯劇学校出身者のコレオグラフィーを見て育った世代としては嬉しい。動き全体を映すことを前提とした上で見所を練った絵コンテと、シークエンスごとの充分な長回し。こういうの大好き。

それにしてもトニー・ジャーは監督に恵まれている。総じてアクション・シーンというのはテンポと雰囲気をつくるために無惨に切り刻まれるのが常だ。欧米のアクション・シーンは殊に断片集積的で、技のアップと役者のアッブを交互につないだ客観不在のモンタージュばかり。『フルスロットル』にしたって、あろうことかパルクールをぶったぎっちゃうんである。対象の真の動きを観客に理解させないために(としか思えない)。そういうのは全くノレない。

トニー・ジャーの話に戻って『トム・ヤム・クン!』になると格闘メソッドの教本ヴィデオか!?と思うくらいカメラをしっかり引いて基本の技をいくつも連続で見せていて、もはや動作設計の概念が違う方向へ行ってしまっている。いや、延々と見せている技が軍隊の近接格闘術だったりするから、本気で教本用の演武なのかもしれない。しかしなんにせよこれが動作設計界の新機軸であることは明白。色気のないものに欲情するタイプの人にはたまらないのだろうな、と思う。