2018-03-22

絶望しつつ、しなやかに。



さいきん食べてばかりいます。そうしないとすぐ体重が減ってしまうのです。家にいるときはお風呂の前を通りかかるたび体重を計って、軽すぎるようならすぐ間食をとります。就寝前も翌朝の体重を気にして少し食べておくのですが、空腹じゃないのに食べるのがなんとも言えない気持ち。

川柳スープレックスに「小津夜景さんの好きな川柳・俳句・短歌」というインタビューが掲載されています。これ、川柳スパイラル創刊号のインタビューでボツになった部分です。聞き手は飯島章友さん。

ところでこのインタビュー、好きな短歌については素で選んでしまいました。世の中に素敵な短歌はいっぱいある上、せっかく川柳誌に載る記事なのだから、松木秀さんを入れれば良かったと少し後悔しています。

松木秀さんの短歌は軽いけれど薄くない。希釈感がないのは諷刺性に富むからではなく韻律に腰があるせいだと思います。あと、コシとハリのある短歌を書けるひと特有の速書きっぽさがたまらない、絶望しつつしなやかだなんて、天才かとも思っちゃう。有名な歌をいくつか。

一人なら孤独で二人なら地獄三人集まれば社会学  松木秀

夕暮れと最後に書けばとりあえず短歌みたいに見えて夕暮れ

偶像の破壊のあとの空洞がたぶん僕らの偶像だろう

「無」の文字は「無」というものを示すにはちょっと画数が多すぎである

川柳も、とても明晰。こちらも気ままに10句。

狂気より怖い馬鹿げている正気   松木秀

未来とはカラーコピーのなまぬるさ
 
いい空だ僕にくっきり影がある

すぐ人を刺すだらしない包丁だ

真ん中に最初に生えるパンの黴

セーターを脱ぎ一瞬の闇に遭う

青空の似合わぬカメレオンでよい

五メートルほどの果てしなさへ歩む

老人は儚いもののふりをする

できあいの個性を五枚ほど買った