2018-05-20

装丁のこと。



装丁について


菓子箱っぽい本。

はじめに思ったのは、漢詩にまつわるあれこれをリセットするために、造本から堅苦しさをとりのぞきたいということ。それで、1.すっきりとした色合い、2.やさしい手ざわり、3.持ったときの軽さ、4.わかりやすい字組み、5.ゆったりとした綴じ方、6.のびのびとした装画、といった要望を編集者のK氏に伝えると、

「わかりました。では本体は菓子箱のイメージでいきましょう。」

と、デザインの方向性をK氏が提案。そんなわけで、軽くて丈夫なお菓子の箱っぽい本、をつくることになりました。


字組みのこと。

ふつう漢詩の本というのは、白文・読み下し文・意味・語注から構成されているのですが、ひとつのことを理解するのにも目をあちこち動かさねばならず、なんだか参考書を眺めているようで、内容が一向に頭に入らないもどかしさがあります。なかでも白文と読み下し文とを上下に配列したもっとも一般的なレイアウトは行を引き返すのが面倒で、はなから読む気が失せることも。この本ではそんな読行線のもつれを解消するため文章を横書きにして、全体を見開きにおさめるとともに、視線がスムーズに流れるかたちに白文と翻訳とを並べてみました。


ラッピングのこと。

菓子箱にかける包装紙(本のカバー)は空気をたっぷりと含んだ紙にカモメをのせて。金の帯は贈り物らしさを、また化粧扉は箱の中に添えた〈銘菓のしおり〉をそれぞれイメージしています。