2019-01-22

お菓子に寄せる恋




俳句2月号に、金子兜太の初期作品についての寸評を寄稿しています。あと、らん第84号に岡田一実『記憶における沼とその他の在り処』評を寄稿しました。

* * *

今年3個目のガレット・デ・ロワを購入。今年はこれが最後。今朝半分食べて、明日の朝ごはんで残りの半分を食べて、来年までさようなら。

お菓子といえば、カステラへの恋を男色と掛けた、すごく変な狂歌があるんです。

かすてら坊主に寄する恋
若衆に宿かすてらの坊主こそ契りの数のなんばんの菓子
豊蔵坊信海

豊蔵坊信海(ほうぞうぼう・しんかい、1626-1688)は江戸前期の画人で僧侶。ロビン・ギルさんの本を見ると「宿貸す寺⇒カステラ」および「何番=南蛮」とあります。外来語の掛詞って珍しいですよね。

味のよきちとり味噌たぶ御書院ここぞ友よぶところなりけれ
豊蔵坊信海

「千鳥味噌」は江戸品川の東海寺名物だった味噌。で、この歌を本歌取りして「味噌千鳥」というお菓子のことを詠んだのがこちら。

我ばかり友をも呼ばで味わえて猶しおらしきみそ千鳥かな
黒田月洞軒

黒田月洞軒(1660−1724)は吉岡生夫氏の狂歌徒然草によると旗本のようです。どちらの狂歌も、下の句がいいですねえ。