『花と夜盗』





英娘鏖
はなさいてみのらぬむすめみなごろし


現世(うつしよ)のカオスにひそむ言葉の華麗な万華鏡(ミクロコスモス)
谷川俊太郎(帯文より)


【収録句より】

漣が笑ふいそぎんちやくの朝
蟬生(あ)れて死んで愛してゐた時間
莨火(たばこび)を消して裸足の身を焦がす
香水のちがふ白河夜船かな
パピルスや死後千年の音階図
君の瞳(め)を泳ぐおらんだししがしら
かささぎのこぼす涙をおつまみに
露実るメガロポリスよ胸も髪も
逃げ去りし夜ほど匂ふ水はなく
後朝のキリマンジャロの深さかな


【目次】

一 四季の卵

春はまぼろし
駒鳥の隣人
ルネ・マグリット式
カフェとワイン
ポータブルな休日
狂風忍者伝
冬の落書き
花と夜盗
胸にフォークを

二 昔日の庭

陳商に贈る
貝殻集
今はなき少年のための
AQUA ALLEGORIA
研ぎし日のまま
サンチョ・パンサの枯野道

三 言葉と渚

水をわたる夜
夢擬的月花的(ゆめもどきてきつきはなてき)
白百合の船出


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『花と夜盗』
著者:小津夜景
帯文:谷川俊太郎 装幀:成原亜美 カバー写真:小津夜景
定価:1900円+税 本文ページ数:144 サイズ:四六判変形
発行所:書肆侃侃房 2022年12月24日刊行