2023-02-07

麻酔する夕方





季刊アンソロジストの連載「存在のためのふわふわした組曲」は小説のようなものを書きました。それから月刊すばるの連載「空耳放浪記」は百年前のパリジェンヌについて書きました。ひまでひまでしょうがない方もしいらっしゃいましたら、ちょいと読んでみていただけますと幸いです。


年末、知人が「さいきん仏像を買ったんだよ」と写真を見せてくれたのだが、先日また別の知人から「僕の部屋の仏像見てよ〜」と写真が送られてきた。みなさんどうしてそんなものを部屋に飾っているのでしょうか。さらに解せないのが、二人とも仏像の下にコースターを敷いていることである(つまり仏像はグラスほどの大きさってことだ)。巷でそういうインテリアのテレビドラマでもやっているのかしら。

夕方から歯医者へ。ここの医者は職場に子犬を連れてきている。まだ家で留守番できないくらい小さいからである。毎回会うのが楽しみなのよ、と知人に言うと「去年の夏に死んだうちの犬の生まれ変わりかも。先生によろしく言っておいてくれ」と頼まれ、それを先生に伝えたところ「だいじょうぶ、だいじょうぶ」とのことだった。帰路、電車の中から「だいじょうぶだそうです」と知人にメール。治療は麻酔が効きすぎて、まだ顔半分がいかれている。今ってほんのちょっと削るだけでも麻酔をするのね。

2023-02-02

餃子の本質について





昨日、新しい本の打ち合わせをしたあと閃きがあって、全体の目次というか執筆計画表のようなものをつくってみた。そしたら8割方その計画表通りにやればいいことが判明し、びっくりしてしまった。本を書き出す前に全体像が見渡せたのって初めて。スマホをやめたおかげで賢くなったのかもしれない。これからの自分にますます期待したい。

数年前から餃子が流行しているのだけれど、ついに近所のスーパーにも餃子が登場した。ただ皮の色からしてふすま入りっぽいし、具材が豆腐とコリアンダーなので、ちゃんと餃子の本質を突いているか怪しい。試す前に言うのもなんだがあまりおいしそうには見えないので、疲れて疲れてもう料理なんてしたくないって日が来たら買ってみよう。

ちなみに、我が家のお好み焼きのレシピは強力粉と卵とキャベツがベースで、タンパク質は燻製豆腐を豚こま風にそぎ切りにし、オリーブオイルで焼き色をつけたものを入れる。青のりの代用品はバジルだ。こう書いてみると果たしてそれはお好み焼きなのか?という気もするが、とにかくこの料理をうちの夫は「餃子そっくり」と言ってマヨ醤油&おろしニンニクで食べる。実はわたしもそう思う。餃子の味の本質は強力粉だということであろうか。

2023-01-30

モナコ行きの車窓から





モナコに向かう列車の窓から、光る海と空と雲を眺める。


句集『花と夜盗』ができるまでは暇がないから、と延ばし延ばしにしていた通院。今年に入ってから週に1、2回あっちへ行ったりこっちへ行ったりしている。今日はレントゲン。


先週から体調の波が下り、とくに記憶力が壊滅的。書き下ろし本の計画が2冊あって、今から5ヶ月間、月150枚書かないと間に合わないというのに。もう他に手のつくしようがないので腹をくくってスマホをやめることにしました。いままでネット検索したり本を読んだりするのに使用していたんですが、これが相当体力を奪っている自覚はあったんですよね。まあ良い機会です。

2023-01-29

Hokusai – Voyage au pied du mont Fuji





アジア美術館で北斎展(ジョルジュ・レスコヴィッチ・コレクション)を観ました。

展示作品は「北斎漫画」が8編。それから「東海道名所図会」「東海道五十三次絵本駅路鈴」「富嶽三十六景」「諸国名橋奇覧」「諸国滝廻り」「百人一首姥がゑとき」「詩歌写真鏡」など計126点。


開館5分前に来て、始まると同時に入場したのに、一瞬ですごい混み具合に。作品以外では能楽師の衣装、文箱、蓑、折り畳み可能な旅の甲冑、結婚式用の駕籠など、鑑賞の助けとなる道具類10点が展示してありました。入場無料だったのでまったく期待していなかったのですが、予想を裏切る充実度でした。

2023-01-25

スチームパンク風研磨機





先週の木曜日、年金受給の開始年齢引き上げに反対する全国デモがありました。その日はトラムも全面運休だったため、普段は夜中しか走らない鉄道レールの研磨機が日中からそこらを走っていまして、ふうん、こうやってサビをとるのね、火花がかっこいいわね、なんて思いつつ眺めていたのですが……ちょいと古すぎませんかこの機械。日本はどうなのだろうと「レール研磨機」をググりましたが木製のマシンはひとつも発見できず。まあ、スチームパンクの実演イベントみたいでわくわくしましたけど。

(後日追記)これ木製じゃなくて鉄なのだそうです。色を見ててっきり木かと。いや、木だったら危ないですよね…。

2023-01-24

un fleuriste Proust!





snowdropさんが句集『花と夜盗』に収録した都々逸をフランス語に翻訳してくださいました(ブログはこちら)。

うその数だけうつつはありやあれは花守プルースト

est-ce qu'il y a
vérités autant que
le nombre de mensonges?
voilà, un fleuriste Proust!

最後の行"voilà, un fleuriste Proust!”の様式美よ。この都々逸ってどこかトロンプルイユ的な雰囲気があると思うのですが、フランス語版も同様の香りづけになっていて、とくに「フルリスト・プルースト」の調べが悪戯っぽくて完璧。原作よりも諧謔性がずっと豊かで感動しました。

snowdropさんによる『花と夜盗』十選はこちら

2023-01-21

トリコロールの工事現場





近所のマンションが外装工事をしているのですが、鉄パイプの足場を覆うメッシュシートがトリコロールカラーになっているんですよ。見るたび気分上がっちゃいます。工事ってこんなにうきうきするものだったかしら。


数日前、イタリアはジェノヴァから帰ってきました。ジェノヴァは私が最初に覚えた外国の町の名前。ほら、アニメ『母をたずねて三千里』の主人公マルコがこの港からアルゼンチンに出発しますよね、そのときの強烈な印象が今に至るもありまして、ずっと空気を吸ってみたかったんです。やっと念願叶い、港や街を散歩したり、山に登ったり、ルーベンスやファン・ダイクの絵を眺めたりと幸福な時間を過ごしました。写真は建物の壁に電飾広告を映し出しているところ。奇しくもメッシュシートっぽい。

ついでに書くと、ルーベンスは自分が最初に覚えた画家の名前で、こちらはアニメ『フランダースの犬』で知りました。わたくし、記憶にある一番古いテレビ番組というのが『フランダースの犬』の最終回、ネロが天に召されるシーンでして。もう悲惨すぎて大泣きしました。むかしのアニメってえげつなかったですよね。今でもしっかりトラウマで、主題歌を耳にすると過呼吸になってしまいます。

2023-01-09

悦楽と禁欲





「すばる」にお引っ越し&リニューアル再開した「空耳放浪記」。第二回は「道具の生きている景色」ということで調度歌合の狂歌を引用しつつ、ものがしゃべる世界に住んでいた知人の話を書きました。

新年なので、珍しい方々から「さいきんどうしてますか?」といった連絡をいただくこのごろ。今は間近にせまったイタリア旅行の準備と、来月から家の改装を再開するのとで、それ関係のこまごました用事をこなしています。とくに家は水回りを直すので、シャワーとか、排水口とか、タイルとか、ひとつひとつを業者に指定しないとならず、それらを探し出すのにものすごく時間がとられる。楽しいっちゃあ楽しいですけど、でもほら、こればっかりやってるわけにいかないというか、ほかの楽しいこともいろいろやりたいじゃないですか。楽しむために、うんとストイックにならなきゃいけないという、逆さ現象の日々。