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2021-10-16

シンプル、デリケート、ユーモラス。



午前中は体調をみながらいくつか用事をこなす。午後は明日しめきりのゲラを見直し、俳句と付句を5句ずつつくる。

そのあとはラインライダーで遊びながら他人の作品をチェックしていたのだけど、数多ある動画の中でMatthew Buckleyがつくづく最高だわと思った。

シンプルにしてデリケート、かつユーモラス。「月の光」と「ウィリアム・テル序曲」もいいけれど、とにかく疾走する「愛の夢第3番」が好き。速度のコントロールの絶妙さもさることながら、ラインのレイアウトに嘘みたいなエスプリがあって、これはもうラウル・デュフィを軽く超えている。軽やかな夢の軌跡を線で表現してみたらこうなりましたって感じ。


2021-04-23

風のすごい日





さいきん知り合った鳥にくわしい方がこんなサイトを教えてくれた。何してるだ〜という頁の鳥がとても表情豊か。こういうのを見ると望遠レンズが欲しくなる。わたしに使えると思わないから無駄遣いせずにすんでいるものの、気持ちは欲しい。

今日は郵便局に用事があったのだけれど、予約の時間を間違えて一時間も早く着いてしまった。ロックダウン中ゆえ周辺のカフェはどこも閉店。仕方がないので郵便局の向かいの公園のベンチにすわって待つことにした。公園には何十人もの人がいた。男女比は9:1くらい。圧倒的に男の人が多い。男の人たちはあらゆるところで井戸端会議をする。自宅の前にも、いつも5、6人くらい、多いときは10人くらい男の人がいる。今日は風がすごい。ほんとすごかった。あたまに葉っぱがいっぱいくっついた。

2020-10-06

鳥の外出



とうとう原稿が明日印刷所に入るらしい。つかのま時間ができたので、クラファン返礼用の漢詩カードのことが脳裏をよぎった。手描きらしいけれど、どうしよう?

反故の裏に図案を描き出していて、ふと「これ動画にしたら面白いかも」と思い撮影してみた(ちょっとピンボケだけど…)。拙著『いつかたこぶねになる日』の詳細およびご予約はこちらから受け付け中。引き続きよろしくお願い申し上げます。

2020-08-21

楽園の系譜





最近よく眺めているフランス国立図書館発行の本。フランス国立図書館は1367年の王室文庫を起源とし、フランス革命後に国立図書館になったのですが、その王室文庫のカタログから、エキゾチックな鳥の絵を40枚厳選しています。水彩画家の妙技によって色彩豊かな羽が復元されているそうです。好奇心が絵心にあからさまに反映されているところがなんともいえず好き。

2018-10-03

日替わりの夢にはいまだ慣れない





低空(ひくぞら)に夏高空(たかぞら)に秋がゐてすれちがふのか綱引きするのか


autumn in the higher sky.
Are they passing each other
or having a tug-of-war ?
  snowdrop

2018-06-11

鳥の図鑑





道を歩いていて、蔓のうねりに目を奪われる。近づいてしばらく眺めていたら、ふとカール・ブロスフェルト『芸術の原型』が思い出され、それから内田清之助へと連想は及んだ。

あのひとのブックデザインは、なぜあんなに綺麗なのだろう。あの時代の図鑑の中で、どれもひとつ頭が抜けている。

もっとも内田清之助は一冊も手元にない。図書館で『画と鳥』『鳥學講話』などを眺めたことがあるだけ。『日本の鳥』も鳥の姿と彩色とが味わい深いのだけれど、今日はじめて箱入を見てしまった。もう溜め息しか出ない。こんなかわいい図鑑ってありなのかしら。

2018-02-27

ホイ! あるいは『バスハウス』における表象の臨界。





マイナの写真を眺めていたら、あまりにかわいすぎて、他にもかわいい鳥の写真を貼りたくなりました。で、三光鳥を。

失恋に三光鳥がホイと言ふ  小林貴子

作者自身による、この句にまつわる笑える話がここで読めます。

* * *

昨日の石井辰彦『バスハウス』について。ラフ・アイデアとはいえ、あの書き方では舌足らずだと気がついたので、少し付記。

エロスを扱う作家に比べ、タナトスを扱う作家というのはそういません。これは性ないし死の臨界に広がるタナトスが、想像界(イメージ)や象徴界(言語)に囲い込まれないところにある、いわば現実界(ありのままの領域)であるがゆえに当然のことで、平たく言うと、タナトスというのは語り損なうという形でしか語れない。

石井辰彦『バスハウス』はエロスに加えてこのタナトスをも描こうとした作品ですが、ラストの数ページに結実したそのありさまは必見です。

そこでの主人公は、みずからを供物として火に捧げることを促すかのようなsvāhā(स्वाहा)という響きを耳にします。この語は本来、バラモン教の儀式において天上のすべての神々に捧げられた供物の事らしいのですが、この本では〈背徳者〉である主人公を糧とした火が、そのまばゆい輝きで世界を浄化する光景まで描かれているんですよね。

虚空に消えゆく星のごとく散りばめられた、美しきsvāhāの木霊。おそらく石井があのシーンで描こうとしたのは、イメージと言葉とを放擲した、性&死の臨界点とその賛美だったのでしょう。

短歌による短歌のための表象構築にとりくむ石井が、にもかかわらずこの本のラストを決して短歌とはなり得なかった語で飾ったことを、わたしは冷静な判断だったと思いますし、またラストの見開き頁には、究極のドラマタイズとその不可能性との両極が奇跡のように現前しているとも思います。

「わが、灰は、海に、撒け」とて死にし友を、燒きぬ 花咲き滿てる岬に  石井辰彦

2018-02-25

ハイク・フムフム・ハワイアン





今週の週刊俳句より「ハイク・フムフム・ハワイアン」なる雑文スタイルの連載を始めることになりました。

この連載タイトル、紀野恵の連作「フムフム・ヌクヌク・ハワイアン」とそっくりです。しかしそこから借用したわけじゃあなく、ハワイ州の州魚フムフム・ヌクヌク・アプア・アから発想しました。

第一回は「新年、マイナのなきごえより」。上の写真の、自宅庭園でくつろぐ鳥がマイナです。日本語ではインドハッカと呼ぶみたい。

ハワイにおける日系移民俳句史については、少し検索すればあらかたの流れがわかるゆえ、解説めいたことは書かないつもりです。それでなくても移民による伝統文化活動というのは、総じてステレオタイプに語られがちでしょう? そういうのってとても残念に思うので、あらたまった本では扱われない、略史からこぼれおちたエピソードを当時の新聞から採取して語れたらいいな、と考えています。

2017-11-17

片足の鳥のこと



さいきん刊行された『原民喜童話集』のことを考えていて、子供の頃、佐藤敏直のタイトルの雰囲気が好きだったことを思い出した。「ちいさなパレット」ではなく、好みだったのは和楽器による、このあたり。

・片足鳥居の映像(1971)
・鳩のいる風景 ~二本の尺八のために~(1974)
・群青 ~三面の十七絃のための~(1981)
・灰色の風のデッサン(1978)
・糸のためのコンチェルト(1983)

「片足鳥居の映像」は、なんて詩的なタイトルなのだろうと大切に思っていて、それが原爆と関係していることに気がついたのは大人になってからだった。

2017-09-26

風、すなわち鳥。





現在連載中のスピカ「かたちと暮らす」で、25歳まで陥っていたひどい勘違いについて告白したのですが、それと同様の話で、わたしはみすず書房のシリーズ本「みすず・ぶっくす」のことも40歳頃まで「みみず・ぶっくす」と勘違いしていたんですね。みすず書房って実はキュートなんだね、なんて思いながら。

こう書きつつ、視覚文化研究所の「みみずくアートシリーズ」も本当に「みみずくアートシリーズ」で合っているのか不安になり、いまググってみましたら、こちらは合っていたもよう。よかった。

本日のスピカは虚の鳥について。虚の鳥といえば殷の時代、鳳凰の「鳳」という字は「風」と同義でした。火の鳥というのは殷から約千年後、五行思想の流行によって生じた見立てで、そもそも鳳凰は「風をおこす霊鳥」だったそうです。

天地に風をもたらす神。この上なく壮大なスケールが心地良い。太古の人は、心からシンプルに、鳥を寿いでいたのですね。

2017-09-23

知らない島、知らない鳥。





南の島から知らない鳥の写真が送られてくる。羽根が美しい。この種は何という名前なのだろう? アジサシに似ているけれど。

「きれいな海。この辺、大きなサメも多いでしょう?」

わたしがそう訊ねると現地で暮らす知人は、

「普通にシュノーケリング中に遭遇してもほぼ無視されますよ。目がほとんど見えなくて、漁などで血のにおいをさせない限りは襲ってこない種が多いんです。眠りザメ(requin dormeur)という名前のサメもいるくらいで」

と笑う。そして「むしろコバンザメの方が厄介ですね。フリーのコバンザメは宿主を探して追いかけて来るから」と付け加えた。それはたしかに嫌だ。

海の遊びだけでなく、椰子の下の読書も捗りそうな島。本日のスピカ「かたちと暮らす」はこちら

2017-09-08

光の中の黒い鳥





本日掲載のスピカ月間日記「かたちと暮らす」の写真はブルーノ・ムナーリの『ABC BOOK』。子供がアルファベットを覚えるための絵本です。黒い鳥のかたわらにCrowと書いてあるので、あれはカラスということになります。

でもあの絵、目と嘴の感じや尾からして、カラスじゃなくてクロウタドリ(黒歌鳥)ですよね。上の写真の子。クロウタドリは英語でBlackbirdと言いますので、カラスってことにしておこう、とムナーリは気楽に思ったのでしょう。

クロウタドリはヨーロッパ人にとって親しみある鳥で、ムナーリは《IL MERLO HA PERSO IL BECCO》(クロウタドリはくちばしをなくしたよ)というグラフィック絵本もつくっています。全部の頁をめくりおえたあとに残る小さな心臓がチャーミングです。

2017-09-01

バイオリズム





人から貰った写真。ユリカモメですね。もう冬羽になってしまっていますが、実は地中海のカモメって夏に冬羽だったり、冬に夏羽だったり、平気でするんですよ。

あまり寒暖の差がないと、毛の生え変わりも適当になるのでしょうか? 

うーん。でもわたしだって、春と秋にはちゃんと髪の毛がたくさん抜けるのに、野生に生きる彼らがそんなでどうするの?って気も。そういえば、今年は8月7日にいきなり髪がすごく抜けて、お、どうした自分、と思ったら立秋でした。カモメよりも正確なバイオリズムで生きている生物です。本日の「かたちと暮らす」はこちら

2017-08-24

ケイマフリとエトピリカ



さいきん北海道に縁のある方とお話する機会があって、思わず調子にのって海鳥のことを語ってしまいました。

北海道の鳥というと、シマエナガやタンチョウあたりが愛されているのでしょうか? どうなんでしょう? いずれにせよ、海鳥愛好家の人というのはあまりいないと思うんですよ。理由はだいたい想像できて、海鳥がごはんを食べているシーンってやっぱり正直「うっ…」といった感じですから。しかたがないです。はい。

で、しかたがないと言いつつ、その方に紹介したのがケイマフリ。こんなすがたをしています(写真はwikiより)。


あと、わたしの育った地域にいるエトピリカ。エトピリカはこちらに画像がいっぱいあるので、海鳥に興味のある方は、いやない方も、ぜひともご覧いただきたく。


そういえば、タンチョウとは高校生の頃、コンビニの前で遭遇したことがあります。その手の場所で遭遇すると迫力があってすごいですよ…と書きたいところですがさにあらず、とても場慣れした顔つきをしていました。鶴というのは然るべきシチュエーションで眺めると最高に神秘的な反面、海鳥では決してありえないようなドメスティックな印象を与えることも多いです。

2017-05-29

エジプトハゲワシと葦と、ロールパン。





近所にある市民大学はかなり専門性の高い公開授業をやっていて、カリキュラムも凝っているのですが、その中の人気授業のひとつにヒエログリフがあるらしいです。ヒエログリフはなかなか面白い言語のようで、わたしの周囲にも何年も授業に通っている人がいます(博物館や美術館に行って、古代の石と対面したときの感動が凄いみたい)。

この文字、鳥の図案がいいですよね。一筆書きの安定感があって。

画像は「海の民」という意味。「海の民」は紀元前1200年前後に突如として海から現れ、たった数年間で複数の古代文明を壊滅・終焉へと陥れたのち、再び海の彼方へに消えた系統未詳の民族を指す概念なのだそう。

で、こちらが海の民との海戦シーンの抜粋。こういうのを見ると、じぶんもちょっと齧ってみたくなります。

青鷺の一筆書きのあそびかた  小津夜景

2017-05-22

旗をはこぶカモメ





ル・アーヴル市が発行している広報誌。カモメが表紙の号なので、大切にとってあります。

ところでこの絵、何を描いているのかというと、フランス軍の待っているル・アーヴルの丘陵に、母国の旗を死守したベルギー政府が避難しに来るところです。1914年にドイツ軍に占領されたベルギーは、軍隊を母国に残して政府をル・アーヴルに移したんですね。

そういうわけで第一次世界大戦中は、下の地図のサン=タドレッスと書かれた場所がベルギーの首都でした。散歩に良い、これといって何もない丘です。

・関連記事
浮き橋の向こうには(ニースと戦争)
第一次大戦中のベルギーの葉書(ベルギー政府の避難先サン=タドレスについて)

2017-05-03

カモメの住居観についての一考察





ええ、そうらしいのです(といきなり語り出す)。昔住んでいたノルマンディーの海岸にはとても良い断崖があり、カモメ一家はそこを団地にして子育てをしていました。このような断崖です。


いっぽう今住んでいる町は、丘の上から眺めるとこんな感じになります。


この海沿いのアパート群、どことなく断崖に似ていると思われませんか?

ここはカモメたちにとってそう良い環境とは言えないでしょうが、それでもこの三次元空間のフォルムには、彼らなりに何かぐっとくるものがあるのかもしれない、と想像したりもするのです。

関連日記 / カモメの駆除法

2017-04-04

うみととり。そしてひめくり。





もうどうしようってくらい良い写真。青森県八戸市にある蕪島のウミネコだそう。ニャアニャアという声が聞こえてきます。普段お世話になっている岩手県盛岡市のひめくりのご主人から頂きました。

現在ひめくりは町田尚子『ネコヅメのよる』原画展で息をつくひまもないほどの忙しさ。寅印菓子屋に特注したという四種類の猫柄パウンドもおもしろいです。


2016-12-20

恐竜みたいで、かわいい。





カモメ。大好きな鳥だ。それでも食事のときのあの本性を見てしまうと、あまりにロマンティックに捉えられがちだとは、思う。とてもじゃないが、

かもめ来よ天金の書をひらくたび  三橋敏雄

とか、

あおぞらにトレンチコート羽撃けよ寺山修司さびしきかもめ  福島泰樹

てな感じでは、ない。これを読んで、なんのことかわからない人。そういう人は「カモメ 丸呑み」で検索すればカモメの食事風景が見られる。もっとも閲覧注意画像すぎてまったくおすすめできない。むしろ、絶対に検索しないことを、おすすめする。

写真の鳥はカモメじゃなく、公園の、飼いならされた鳥。小さな恐竜みたい。

2016-11-16

カモメの食事





カモメは目があうと、わざわざ誇らしげに獲物を見せてくれることがある。あれはなんとかならないのだろうか? わたしは獲物の死骸がダメなのである。いや、死骸じゃなく、生きていてもダメなのだった。いま住んでいるアパートの向かいには中学校があって、6階にある我が家の窓からその広々とした屋根の上が丸見えなのだが、そこでよくカモメが生きたハトを食べている。ぶすりと一刺しし、ハトをびくっと意気消沈させては、ちょっとずつ肉をむしって。三十分は食事にかける。そしてかならず食べ残して去ってゆく。