2022-07-31

時差ボケ日和 8





7月31日の朝食は金谷ホテルベーカリーのマンゴーコロネとコーヒー。昼は自炊。午後5時すぎに宿舎を出て本屋B&Bへ。下北沢の駅から迷ってしまい30分くらい歩いた。

午後7時からはスケザネさんとのトークイベント。私は仕切り役に向かない性格であるうえに喋るのが遅い。それを自覚しているのでイベントの目標は「せめててきぱきと喋ろう」だったのだが少しはできたような気がしている。会場はじーんとするくらいあたたかかった。ご来場のみなさまありがとうございました。

イベント後は下北沢駅構内のシュマッツベーカリー&ビアへ。笠間書院のKさんのおごりでレモンソーダを飲む。飯田橋駅に着くと夫が迎えにきてくれていた。夫は新宿でのライブ帰り。ウィスキーをロックで頼んだら水割りが出てきたよ東京って暑いねえ、との話を聞きながら帰宅。

2022-07-29

時差ボケ日和 7





朝食はパティスリーフレッソンのマドレーヌとコーヒー。昼は神楽坂の炭火亭でスンドゥブチゲランチ。今回日本でしたかったことのひとつが韓国料理を食べることだったのでやっと念願叶ってうれしい。夜は『物語のカギ』刊行祝いと間近に迫ったトークイベントの打ち合わせとを兼ねて星のなる木で懐石料理。面子はスケザネさん、素粒社のKさん、そして私。スケザネさんに会うのは2回目だけど、まったく周囲を緊張させない人であらためてすごいと思う。

31日のトークイベントは前半が『物語のカギ』制作秘話、そして後半が読むことをめぐる三つのテーマを語り合うといった形式で、合間合間に「ではここで一曲」っぽくスケザネさんの朗読を挟む予定。小津さんも朗読してくださいよと念を押されたが「ん?」と首をかしげておいた。お申し込みはこちらからどうぞ。

2022-07-28

時差ボケ日和 6





朝は菓の子やのスイートポテトとコーヒー。食後は洗濯物を干し、宿泊先で原稿を書く。上の画像の「れんらくちょう」はとても使いやすいのでおすすめ。これにひらがな多めで予定を書くと、いろんな精神的不安がまたたくまに消滅する。

正午、Tさんと大塚にある蕎・馳走岩舟の前で待ち合わせ。が、今日は休みだったらしく急遽やっぱりインディアに向かう。カレーを食べたあとはOMOカフェに。ここは広々として静か、完全に穴場だった。おしゃべりしているとKさんがやってきて表六句を巻くことに。

抱一の一をひろげて扇かな  冬泉
蛍集まるほにやららのバス  夜景
巴里祭サドの末裔神妙に   季何
埃まみれの眼鏡とり出す  冬
名月に憧れて焼くパンケーキ  夜
人呼ぶときは秋簾越し  季

夕方になったので駅前の酒肴北斎に場所を移し、馬刺しを食べつつさらに雑談。明治以降の天皇家の歌の話になり、私は上皇后美智子の〈慰靈地は今安らかに水をたたふ如何ばかり君ら水を欲りけむ〉の初読の衝撃を語る。そのあと時代を遡り、Kさんの持統天皇の歌の解釈を聞き、Tさんに近松門左衛門「持統天皇歌軍法」のあらすじを教えてもらう。宿泊先に帰ってからはお茶碗を洗っていた夫と漫才の話を少し。「Tさん、ダイマル・ラケットが好きなんだって」と伝えると「そうなんだ。いい漫才師だからね〜」との返事。ほんとそう。

(追記)連句、誤字を直しました。Tさんのコメントはこちら

2022-07-26

時差ボケ日和 5





今日は大雨。朝食はきんつばとコーヒー。洗濯物を干し、病院で診察を受け、支払いをすませたその足でいとこの家に遊びに行く。お昼ごはんをご馳走になり、しばらくお喋りしていると雨がやんだので、車にのって小川芋銭の家がある牛久沼の畔へ。


芋銭のアトリエ兼居宅「雲魚亭」の敷地からつづく竹林を歩き、


河童の碑の前で立ち止まり、時を忘れてじっと見つめる。


きゅうりが3本供えてあった。

2022-07-25

時差ボケ日和 4





日曜は終日原稿書き。月曜の朝はまことに恥ずかしながらまたもや塩豆大福を食べ、コーヒーとカフェインレスコーヒーを一杯ずつ淹れる。それからシャワーを浴び、部屋の蛍光灯を交換してもらい、10時には病院へ。

正午、俳人のTさんと落ち合う。神楽坂の紀の膳に行く予定が定休日だったので、その向かいの志満金で松花堂弁当を注文する。食後は干菓子と薄茶を頂きながら句集の推敲につきあってもらう(ゲラは前もって渡してあった)。いわゆる「句集」とよばれる書物は、一度でも手に取ったことのある人には周知の事実だけれど、一冊あたりの文字数が思わずめまいを覚えるほど少ない。たとえば仮に全部ひらがなの句を300句収録するとなると総文字数は17字×300句で5100字。400字詰め原稿用紙換算でたった13枚である。にもかかわらず直すべきところが40箇所も発見されゲラが満身創痍となったのはいかがなものだろう。そのあとTOKI CAFEに場所を移してトークイベントの相談というか雑談というか。5時半に帰宅。夕食は今から自炊。

2022-07-24

時差ボケ日和 3





昨日の朝ごはんはロミユニのバターガレット、文銭堂のどら焼き、そしてコーヒー。シャワーを浴び、掃除機をかけ、洗濯物を干し、午前中いっぱいゲラを直す。昼ごはんは自炊。

午後は俳人のHさん、Kさんと飯田橋のCANAL CAFEで待ち合わせ。お目にかかる前は何を話せばいいのかしらと不安だったが、挨拶もそこそこにアイヌについて尋ねられ、アイヌ語講座のこと、チャシのこと、蝦夷錦とシルクロード、私が子どもだったころのイオマンテ、ニヴフやウィルタの戦後補償問題などについて話すといった初対面とは思えない展開に。そこから2時間半、喋りに喋った。Hさんが太極拳をしているというのでいつもながら『拳児』をおすすめし、オタクと詩歌との関係についてKさんから面白い講義を賜る。

夜は神楽坂のてしごとや霽月にDくんとMさんと集合。この2人はパリに住んでいた頃からの友達で一緒に働いていた仲でもある。今思うと信じられないけれど彼らと遊ぶときは毎回かならず徹夜だった。翌朝10時くらいにやっとお開きになるといったパターンだ。なぜあんなにも寝ないで大丈夫だったのだろう。2軒目はふたたびCANAL CAFEへ。デッキサイドで夜風に吹かれながら白桃と桜のジェラートを食しカモミールティーを飲む。丸々とした鯉が藻色のぬるいお堀を漂い、ときおりセクシーに口をあけていた。

2022-07-22

時差ボケ日和 2





朝はコーヒーを淹れ、きのうと同じ塩豆大福を食べる。それからシャワーを浴び、句集のゲラを直し、提案されていた装幀家の中から一人を選んで版元に伝える。句集のタイトルも決めないと…。

昼は自炊し、お茶碗を洗って洗濯物を干してから、集英社のMさんに会うために赤城神社境内のあかぎカフェへ。ここは神社まるごと隈研吾デザイン。さらにお守りのデザインは水木しげるだ。ゲゲゲの鬼太郎がアニメや映画等で映像化されるたびに水木が参拝していた縁らしい。

あかぎカフェでは文章の書き方をMさんから学び、新たな連載のテーマ出しを一緒にやり(現在の連載は今月号でいったん終わります)、若かりし頃の三國清三シェフのエピソードをMさんに伝授する。しばらくすると他部署のYさんがやってきてネタだしに協力してくださる。折ふし世情や本のあれこれ。私がした本がらみの話は奥泉光の小説をデビュー作から読んでいること、さいきんジャン=クロード・エレナ『調香師日記』の影響で香水を変えたことなど。ちなみに写真の香水がそれ。けどまあ香りを変えても中身が一緒だからどうしようもないといえばないのだが。

3時間以上喋り帰宅。今は夫が仕事から帰ってくるのを待ちながらこれを書いている。晩御飯はサイゼリヤに行く予定。

2022-07-21

時差ボケ日和 1





朝は家から持参したコーヒーを飲み、ファミリーマートで買った塩豆大福を食べる。そのあとスケザネさんとのトークイベントの骨子をつくりメールで簡単な打ち合わせをする。昼は自炊し、家から持参したハーブティーを淹れる(旅のときはコーヒーとドリッパーとフィルターのほかハーブティーも3種類くらいパッキングします。いつも飲んでいるものがあるとほっと一息つけるから)。午後は素粒社へおもむき2時間ほど労働する。QuizKnockの伊沢拓司さんが書いてくださった『いつかたこぶねになる日』のPOPを3枚いただき、書店回りの時間をとれそうかどうかKさんと話し合う。と、そこへ句集のゲラが返ってくる。帰りはKさんと東小金井駅前の中華料理「宝華」へ行き、油そばなるオールドファッション的逸品を食す。

2022-07-20

一点か全体か、それが問題だ。





日本到着。いま宿泊先のラウンジでこれを書いています〜眠い目をこすりながら。私、時差ボケが治らない体質で、日本に来ると滞在中ずっと眼窩が殴られたように黒ずんでしまうんですが、これってなんとかならないんでしょうか。

小説すばるの最新号が発売されていまして、今月の空耳放浪記は、ええとたしか「存在と時間」というタイトルだったと思います。自分でつけたのに自信ないですもう眠くて頭が働かない……こんな状態でスケザネさんとのトークイベントの骨子つくれるのか不安だなあ。いやあ、この本って『物語のカギ「読む」が10倍楽しくなる38のヒント』というタイトル通り、スケザネさんおすすめのネタが回転寿司みたいにつぎつぎ繰り出されるんですよ。なので一箇所に光を当てると他の場所が真っ暗になっちゃう。一点透視図法的に視界がひらけないんです。広角的な配光はあきらめてスケザネさんが特にこだわっている一部を照らすか、それとも深堀りをやめて全般配光をめざすか、そこを決めておかなくちゃいけない。あ、あと朗読する本にふりがな振っておかなきゃ。詳細・お申し込みは下のリンクからどうぞ。

2022-07-14

革命記念日とトークイベント





7月下旬の日本行きにそなえて6月からいろんな所用を巻き巻きでやってきて最近ずっとへろへろである。にもかかわらず昨日はいつもより長く海で泳いだ。やたら魚の多い日で、子どもたちが昆虫採集用の網をもって素潜りしていた。帰宅したときわたしの肉体はへろへろという音喩を美しく体現しほとんど人間の形状を成していなかった。床に溶けていると夜になり花火がばんばん上がりはじめた。おお、革命前夜の花火!と心沸き立ち、這うようにして花火大会へと馳せ参じた。帰ってきて、薬草を練った湿布を足の裏に貼り、よく眠れる薬を飲んで、目覚めると革命記念日。

お知らせです。7月31日(日)夜7時よりB&Bにて開催されるスケザネさんとのトークイベントですが、ご来場可能の人数がいっきに40人増えました。コロナ対策で制限しますと聞いていたのですが大丈夫になったのでしょうか? 事情はわかりませんがうれしいことです。一人でも多くの方とお目にかかれますと幸いです。お申し込みは下のツイートのリンクからどうぞ。

2022-07-10

休日の午後





土曜日の午後、町の中心に出る。画面右側は15日から始まるジャズ・フェスティバルの入り口。画面左側では、


子供たちが水着になって遊んでいた。濡れた石畳が雲に染まる。


所用をすませるともう夕方。かれこれ七年ほど、前を通るたびに気になっていたEmilie and the Cool Kidsに入ってみる。想像していたよりもずっと手作りの内装だった。マフィンは蒸しパンみたいにふにゃふにゃ。家庭科の授業の味がして美味しかった。

2022-07-04

藤の昼、その永き儚さ





博物館の渡り廊下で夫のあとを追う。



季節はどんどん移り変わるし、郵便は届くのに時間がかかる。先週読んだ『トイ』Vol.07は5月の刊行。干場達矢「心変り」より三句。

道具には道具のこころ囀れり  干場達矢

「道具には道具のこころ」といった言い回しに凛とした佇まいを感じるのは、ちょうどこの春開催された柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」を思い出させるからでしょうか。またその凛々しさを「囀」によって実際にくっきりと形象化してみせたのも巧い。

土壇場の心変りは梅のせい  〃

「土壇場」というのっぴきならぬ状況が「梅のせい」という不埒な言い訳に収斂されるところ、大人の日常を切り取った匂いがしていいなあ。私好みです。

藤の昼ことば儚く永くあり  〃

ことばが「儚く」しかし「永く」在るという抱懐と、しなやかで重りかな藤とを合わせることで、日常と永遠とが見事に地続きになっています。ふわふわしていない、心にしっかりと染み入る、愛おしき永き儚さを思いました。

2022-07-02

Panda Tea





今朝コロナの抗原検査をしに薬局に行った家人が「列に並んでいたらこんなお茶が!」と買ってきたもの。パンダ茶ってことは竹茶?と思いつつ袋を見るとグリーン・ルイボスティーである。香りづけは桃、無花果、林檎、甘草。冷やして飲んでみたらリラックス効果抜群だった。