博物館の渡り廊下で夫のあとを追う。
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季節はどんどん移り変わるし、郵便は届くのに時間がかかる。先週読んだ『トイ』Vol.07は5月の刊行。干場達矢「心変り」より三句。
「道具には道具のこころ」といった言い回しに凛とした佇まいを感じるのは、ちょうどこの春開催された柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」を思い出させるからでしょうか。またその凛々しさを「囀」によって実際にくっきりと形象化してみせたのも巧い。
「土壇場」というのっぴきならぬ状況が「梅のせい」という不埒な言い訳に収斂されるところ、大人の日常を切り取った匂いがしていいなあ。私好みです。
ことばが「儚く」しかし「永く」在るという抱懐と、しなやかで重りかな藤とを合わせることで、日常と永遠とが見事に地続きになっています。ふわふわしていない、心にしっかりと染み入る、愛おしき永き儚さを思いました。
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季節はどんどん移り変わるし、郵便は届くのに時間がかかる。先週読んだ『トイ』Vol.07は5月の刊行。干場達矢「心変り」より三句。
道具には道具のこころ囀れり 干場達矢
「道具には道具のこころ」といった言い回しに凛とした佇まいを感じるのは、ちょうどこの春開催された柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」を思い出させるからでしょうか。またその凛々しさを「囀」によって実際にくっきりと形象化してみせたのも巧い。
土壇場の心変りは梅のせい 〃
「土壇場」というのっぴきならぬ状況が「梅のせい」という不埒な言い訳に収斂されるところ、大人の日常を切り取った匂いがしていいなあ。私好みです。
藤の昼ことば儚く永くあり 〃
ことばが「儚く」しかし「永く」在るという抱懐と、しなやかで重りかな藤とを合わせることで、日常と永遠とが見事に地続きになっています。ふわふわしていない、心にしっかりと染み入る、愛おしき永き儚さを思いました。