こちらのサイトで、季語「蚯蚓鳴く」についての所説がまとめられている。要点がいっぱいで、読み応えがありました。一節のみ引用。
江戸時代は、訳注のベストセラーがいくつも生まれたくらい町人階級も漢詩を読んでいたので、みみずについても、陸游の茶詩や陳師道の絶句などを知っていたと思う。二人とも有名だし、宋代の文人趣味はそのまま江戸時代の俳人たちに丸ごと吸収されたし。とくに陸游の茶詩は、みみずの鳴き声がどんな感じかわかるので嬉しい。
『本草綱目』の影響力を併せ考えてみると,近世日本における「ミミズが鳴く。」という見解は,10世紀以前に渡来した『古今注』の見解が根付いたものとみるより,16~17世紀ころ,『本草綱目』等を典拠とし,「陰晴」に関する見解とセットになって,改めて渡来したものと考える方が妥当ではなかろうか。(ミミズの俗信「歌女」(2))
江戸時代は、訳注のベストセラーがいくつも生まれたくらい町人階級も漢詩を読んでいたので、みみずについても、陸游の茶詩や陳師道の絶句などを知っていたと思う。二人とも有名だし、宋代の文人趣味はそのまま江戸時代の俳人たちに丸ごと吸収されたし。とくに陸游の茶詩は、みみずの鳴き声がどんな感じかわかるので嬉しい。
●茶鼎声號蚓,香盤火度蛍。(陸游)
茶鼎の声は、號ぶ蚓。香盤の火は、度る蛍。
(茶釜の沸く音は、叫ぶミミズのよう。
香盤を灯す火は、巡るホタルのよう)
●木揺電繞雷取龍,伏蛙號蚓溝瀆空。(陳師道)
木は揺れ、電(いなずま)は繞(めぐ)り、雷は龍を取る。
蛙は伏し、蚓は號(さけ)び、溝は空を瀆す。