2024-01-22

ミツバチのエッセイは蜜のように甘かった





このところ働きすぎていたみたいで、いきなりなにもできなくなってしまった。と、いまなんとなく書いて、あ、そうなんだ、とようやく気がついた。こういうときはなにもやらないに限る。いまからちょっと海辺を歩いてきます。

ただいま。4キロ歩いてきました。でもぜんぜん頭の中がすっきりしない。しないよう。しょうがない、さらにヨガでもやりますか…。

終わりました。やっと気分が晴れました。ええと、今日の話は『ロゴスと巻貝』について。これがですね、かつてないほど感想を頂戴しているんです。傾向としてはざっと二種類に分かれまして、ひとつは「笑った!」というもの。もうひとつは「なんて正直な人だろう」というもの。笑いに関しては、実現できているかはともかく常に心がけていることなので嬉しい。ただし他人がどこで笑ってくれているのかは分からないので後学のために友だちにたずねてみました。すると友だち曰く「いやあ、正直だなあと思って!」。はは、なんだ、そういうことか。しかしながら、私生活をあまねく暴露した文章がますます巷にあふれる今日、書きすぎないことを旨とした本書がなぜ「正直」に映ったのか。結局よくわからずじまいです。

また「装丁が綺麗」とおっしゃる方も多いです。今回、デザイナーの脇田あすかさんには「ディプティックのまだ見ぬ新作デザイン。ユニセックス仕様で」と、またイラストレーターの杉本さなえさんには「自然現象と動植物をからめた装画を」とお願いしました。カバー表のイラストと飾り罫、背の巻貝、裏の楕円フレームのロゴは村田金箔の透明箔押しで、そこだけシールのような手触りになっています。カバーをはずした本体は、天然パール調の光沢をはらんだ布のような紙。表紙見返しの黒の風合いや栞の白など、ぜひ手にとってたしかめていただければと存じます。

あ、そうだ。杉本さんの装画の中に蜂が飛んでいるのは、初校の段階ではミツバチについてのエッセイがあったからです。引用したのはレイ・ブラッドベリ『たんぽぽのお酒』。でも最終的に破棄してしまった。この本のことが好きすぎて、うまく書けなかったの。