2018-10-01

▶︎ goeland blue
● 新刊『カモメの日の読書 漢詩と暮らす』
6月20日発売。詳細はこちらの特設ページにて。

● 刊行記念イベント 小津夜景×蜂飼耳×外間隆史
「海外翻訳文学としての漢詩~古典との新しいつきあい方」7月29日15時より本屋B&Bにて。詳細はこちら
● 句集『フラワーズ・カンフー』の紹介はこちら

2018-06-24

しおたまこ『雨がふってもハレルーヤ!展』



会期が残り一週間を切ってしまいましたが、イラストレーターのしおたまこさんが新潟市のシロネプレッソで個展を開催中です。まこさん曰く、

梅雨の日々でもわくわくするような気分のアガる服を着たい! そんな気持ちで、イラストをブラウスや、ワンピースにペイントしました。イラストがそのまま飛び出したようなアクセサリーも出品してます。夏晴れの日に向かって、元気になる素を探しに来ていただけたらと思っています。

とのこと。詳しくはこちらを。

2018-06-23

ウクレレ余談。



おとといの日記「消えるウクレレ」に拙句を引用したのですが、あれはもともと、なかはられいこさんと西原天気さんと巻いた歌仙での付け句が原型にあります。その時はどんな流れだったのかと言いますと、


鍵穴越しのアタカマ砂漠  気
ウクレレを小脇に忍び逢ふことも  景
いやんなつちやふ小皺も好きで  れ


こんな感じ。で、わたしこの、なかはられいこさんの付け句が好きなんですよ。牧伸二と小皺で、恋を表現する意表。なかはらさんって、折にふれ爆弾みたいな付け句を放り込みます。同歌仙にはこんな流れも。


ままよ磁針が三途の川を  景
九杯目からは手酌の花の宴  気
囀るやうな久保田の財布  れ


この爽快感! どれだけ太い財布なのでしょう。春の季語「囀る」の調理の仕方も、あっと驚くヌーヴェル・キュイジーヌ。まったくもって川柳作家というのは粋ですね。


約束はただのあじさいだったのに・・・なかはられいこ

2018-06-22

花の我が家へ  古屋翠渓『流転』1945


『流転』の特筆すべき特徴のひとつは1945年の句が少ないこと。そしてまた、戦後ハワイに帰還した次の年の作品が一句も存在しないことです。

この本のあとがきによると、翠渓がもっとも俳句に励んだのは収容所での4年間だったのだそう。技術的なことを言えば、抑留時代よりそれ以外の時代の方が俳句の質はずっと高いのですけれど、決して質では測れない良さがこの時期の句には確かに感じられます。

そんなわけで1945年の句を順に読んでゆくと、ラストで胸が熱くなる。そして平凡ながら「ああ、死ななくて良かった」と思うのでした。



はるかぜ、石も芽ぐんでゐる

囀りあちこち一羽はバブワイアに来て

大統領逝去
星条旗の半旗が垂れてゐる

古いキヤンプとて軒端には桃の木などある

風邪で入院
花にすずしい風が出て蜜蜂三つも来た

祖国日本ポツダム宣言を受理終戦となる
柵の中から町の戦勝の狼煙上がるを見てゐる

秋空から渡されてこれが赦免状一枚

一九四五年、四年ぶりに帰還の途に着く、オレゴン州にて
川に沿ふて下るほどに紅葉が青葉になる

ワシントン州にて
木々の茂り霧立ち込めて知らぬ鳥鳴く

乗船
青い草に雪がちらつく日を乗込みます

海の色や飛魚や布哇に近づく

海がさらに碧くなり鳥が見えさうな

出迎の人のなか妻子にかこまれてゐる

帰宅
外の垣にも花の我家でご飯いただく

目さめて見てもわが家


2018-06-20

消えるウクレレ



ウクレレの素敵なところは、湿った風に糸をかけたような、あるいは波しぶきをこぼしたような、くぐもった、角のない音。砂浜に座って、椰子に凭れて、ウクレレを小脇に置くと、きっと嬉しい。

そんな折、近所の雑貨屋さんにウクレレがあるとの情報が。

さっそく行ってみると、ない。どこにも。店員にたずねると、一瞬で売れてしまったとのこと。毎日のぞいてください、そうでないと、またすぐ消えてしまいます。店員はすました顔でそう言う。

そうだよね…。夏だもん。

それはそうと、おもちゃのウクレレでもトイピアノくらいの音は出るのかしら?と思い Plastic toy Ukulelesでググってみました。すると驚くほど落ちついた音。プラスチックを粗悪だと思うのって、いくぶん昭和の感覚なんだろうなあ。ううむ。

ウクレレを隠して忍び逢ふことも  小津夜景


2018-06-19

刷りの快楽



この写真はブレているのではなく、さいきん動画をアップした活版印刷機の下にあった、試し刷りの紙。けむりのようで、いいなあと思い、ヴェルニサージュの最中、たびたびしゃがみこんではじっと見つめていました。

その夜の企画はヴォルテール訳のニュートン『自然哲学の数学的諸原理』の最新活版刷りと版画家による作品のコラボ。どちらも刷りの妙が快感でした。

2018-06-17

古屋翠渓『流転』1944



春のおとずれに胸を熱くしたのは、子供のころの良き思い出。雪のあいだに小さな命を見つけた時の感動は、北国ならではのよろこびでした。そんなわけで古屋翠渓『流転』より、1944年アメリカ大陸の春の句を。


ビーバーが倒した木も芽が膨らむので春
青む枝へみんながカツプを干すので春

井師より来状
動乱の世界を廻つて師の手紙が来た


この年は収容所で、荻原井泉水からの手紙を受け取っているようです。

ところで以前、とある自由律の俳人が「基本、若い自由律俳人は短律志向です。長律とどう向き合うかというのは私自身にとっての懸案事項でもあります。長律って難しいんですよ」と教えてくれたのですが、これ、体感的によくわかる話です。長律は短律より型が複雑、リズムに対する生来の運動神経を試される度合いも大きい。書いてみようと思っても、なかなかうまくゆきません(目下、試行錯誤中)。

2018-06-16

新刊『カモメの日の読書』紹介ブログ


新刊『カモメの日の読書 漢詩と暮らす』の紹介ブログをつくりました。



書籍の基本情報、書影、造本にまつわるコラム、刊行記念の催し、著者についてなどをまとめてあります。