2020-01-01

INFO


●『カモメの日の読書 漢詩と暮らす』重刷。帯を松岡正剛氏の筆に衣替えしました。詳細はこちらの別荘で。
● 句集『フラワーズ・カンフー』はこちら
● mimizu books(オンライン露店)はこちら

2019-01-24

食の慰め





昨日の狂歌をもういちど引用。合わせたい歌を思い出しました。

味のよきちとり味噌たぶ御書院ここぞ友よぶところなりけれ
豊蔵坊信海
人生のここがいちばんいいところうきうきとして牛舌(ギウタン)に塩
小池純代

そういえば最近、SIMIYOKOIKEなるラベルを右欄に作りました。もしかすると何かの役にたつかもという気がしてきたので。

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ここから全然関係のない話。西洋料理のレシピ以外で、シュークルート(ザウアークラウト)をどう使うか、についてのメモです。

1.ソフトスモークのサーモンやにしんのうす切りと和えて、なれずし風に。
2.韓国風鍋の具材(豚のリエットがあれば、なお良し)。
3.高菜の代用物として炒め物に(酸味が抜けないよう浅く炒める)。

このお正月は1から3まで全部やりました。シュークルートってバケツ買いだからだんだん飽きてくるんですよね。それで何か良い食べ方ないかなあと思ったんです。で、ものすごい発酵だし、即席なれずし風の前菜が作れるじゃん!と閃きました。シュークルートはもちろん生のまま食べます。カイエンペッパーを鋏で切って混ぜてもいい。お客さんが来たときに感動されることうけあい。ソーセージと合わせてぐつぐつ煮込んでる場合じゃないです、ほんと。

2019-01-23

お菓子に寄せる恋




俳句2月号に、金子兜太の初期作品についての寸評を寄稿しています。あと、らん第84号に岡田一実『記憶における沼とその他の在り処』評を寄稿しました。

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今年3個目のガレット・デ・ロワを購入。今年はこれが最後。今朝半分食べて、明日の朝ごはんで残りの半分を食べて、来年までさようなら。

お菓子といえば、カステラへの恋を男色と掛けた、すごく変な狂歌があるんです。

かすてら坊主に寄する恋
若衆に宿かすてらの坊主こそ契りの数のなんばんの菓子
豊蔵坊信海

豊蔵坊信海(ほうぞうぼう・しんかい、1626-1688)は江戸前期の画人で僧侶。ロビン・ギルさんの本を見ると「宿貸す寺⇒カステラ」および「何番=南蛮」とあります。外来語の掛詞って珍しいですよね。

味のよきちとり味噌たぶ御書院ここぞ友よぶところなりけれ
豊蔵坊信海

「千鳥味噌」は江戸品川の東海寺名物だった味噌。で、この歌を本歌取りして「味噌千鳥」というお菓子のことを詠んだのがこちら。

我ばかり友をも呼ばで味わえて猶しおらしきみそ千鳥かな
黒田月洞軒

黒田月洞軒(1660−1724)は吉岡生夫氏の狂歌徒然草によると旗本のようです。どちらの狂歌も、下の句がいいですねえ。

2019-01-19

本を作る、本を売る。





今週の「土曜日の読書」は鴨居羊子『私は驢馬に乗って下着をうりにゆきたい』で、句集を作るところからそれを売るまでの流れについて書いてみました。文字数の関係上、さらっとした話になっていますが、いろんなエピソードがあるので、また何かの本にかこつけて続きを書くかもしれません。

行商中は個性的な本屋さんを見つけると、わあ、ここに置いてもらえたらなあと思うものの、twitterやfacebookからしか連絡がとれないところもあって、SNSをやっていない自分は断念することも多かったです(そうした本屋さんが、フツーに取次経由で仕入れてくれているのを知ったときは本当に嬉しい)。あとSNS未登録だと、どこに納品したかを宣伝する機会もないのですけれど、今日はせっかくなので、どこのだれかもわからない変な女から本をお買い上げくださった素敵な本屋さんのお名前を並べてみます(数件委託あり)。『カモメの日の読書』刊行後、さらに増えました。

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B&Bbook cafe bookishBOOKSf3BOOKS青いカバBREWBOOKSBriséesCAFEめがね書房DOOR BOOK STOREGo Go Round This World! Books&CafeHAHUKIMAMA BOOKSmozicaNENOinostos booksoncafeRethink BooksROUTE BOOKSsonoritétaramu books & cafetoucaUnder the matviolet&claireアダノンキ市場の古本屋ウララオヨヨ書林おんせんブックスがたんごとんカネイリミュージアムショップ6ココシバコトバヤさざなみ古書店せんぱくBOOKBASEタコシェナツメ書店ハナメガネ商会ひとやすみ書店ひめくりひるねこBOOKSふやふや堂ペンギン文庫ホリデイ書店ポルベニールブックストアマヤルカ古書店メリーゴーランド京都メルシーズよもぎBOOKSリードブックスロバの本屋ロンドンブックス伊野尾書店雨の日製作所蛙軒劃桜堂居留守文庫古書ソオダ水古書ほうろう古本冬營舎胡桃堂書店七月堂春光堂森の六畳書房青と夜ノ空双子のライオン堂長崎書店長崎次郎書店books電線の鳥乃帆書房文藝イシュタル本屋ルヌガンガ迷路のまちの本屋さん葉ね文庫緑の本棚栞日邯鄲堂

2019-01-16

122年前のリアル・サバット part 1





サバットはフェンシングの師範ミシェル・カスー(Michel Casseux, 1794-1869)が創始したフランスの近代武術。その起源は古代ギリシアのパンクラチオンに遡ります。カスーがサバット教室を公式に開いたのは1825年で、彼の弟子が「決闘を排した試合、身体強化法、上流階級の護身術」を前面に押し出し、パリを中心に大流行させました。上は1900年の絵葉書。


こちらは作家のテオフィル・ゴティエが1847年8月16日のLa Presseに執筆したサバット認定試合の挿絵。すごく高い蹴り。もともと南フランスには海賊由来のショソン(chausson)なる足技武術があるのですけれど、この挿絵の見出しもサバットではなく〈手技boxeと足技chaussonの認定〉という言い回しになっています。


こちらは1897年の動画。122年前です。この動画を教えてくれた飯島章友さんによると、「むかしの西欧では下半身(へ)の攻撃は下品と見なされていたようですが、サバットは足の攻撃が主流でとても珍しい」とのこと。面白そうなので技の体系を調べてみたところ、フランスのギャング・盗賊・農民の間に古くから伝わる足技を収集・体系化し、のちに英国ボクシングの手技を足したとある。うーん、つまり戦士由来の戦い方じゃないからってことなのかしら。

この動画では古式ゆかしき型がわかるし、棒術も地に足がついています。あ、パリでは昔、紳士はステッキを携えていたから棒術はとても役に立ったみたいです。

2019-01-15

2019年周期律の旅 part 3



毎年、こんなに多くのデザインの周期表が作成されているとは想像もしていなかった。化学者によくある息抜きなのだろうか。今日はオリジナルな理屈に基づく周期表。


樹木型。〈Müller's Tree System〉、1944年。ダーウィン「進化の木」が発想の基本にあるらしい。それよりムナーリの絵本みたい。


総量型。〈Elements According to Relative Abundance〉、1970年。地球上にある各物質の総量の関係をヴィジュアル的に表現している。


視力検査型。〈Chemistry Eye Chart〉、2016年。こういうのを器用に作成しちゃう人っていますよね。研究室の壁に貼るのにちょうどいいデザイン。

2019-01-14

2019年周期律の旅 part 2



きのうのつづき。周期表データベースを見ていたら綺麗な周期表がいっぱいあって、気に入った図を並べたくなった。今日は巻き型デザインのベスト5(順不同)。


連珠型。〈Janet's Lemniscate Formulation〉、1928年作。


銀河型。〈Philip Stewart's Chemical Galaxy II〉、2003年作。


これはいったい何型なのか。〈Hyde's Periodic Relationships of The Elements〉、1975年作。ヘルツォーク&ド・ムーロンのブランデンブルク工科大学図書館もこれと同じフォルムだし、きっとちゃんとした呼称があるのだろう。そういえばアルヴァ・アアルトの花瓶もこんなだね。よし、フィヨルド海岸線型と呼ぶことにしよう。


これは螺旋型。しかしトラック型と呼びたい。〈Clark's Periodic Arrangement of The Elements〉、1935年作。画像は1949年のLIFE誌に掲載されたヴァージョン。かわいい。部屋の壁に貼りたいなと思ったら、当時はポスターも制作されたようだ。


螺旋型。〈Ziaei's Circular Periodic Table〉、2018年作。去年発表されたばかりの周期表。

2019-01-13

2019年周期律の旅 part 1





2019年は周期律発見150周年とのことで、新年からいろんなニュースが聞こえてくる。なかでも興味を引いたのが、以前Science誌に掲載された『俳句つき元素周期表』。119句の元素の特徴を、それぞれ俳句で説明したものだ。

俳句は伝統的に自然に焦点を当てているし、子供が最初に学ぶ詩形だしということで、こうした活用法はいたって普通の感覚らしい。実際に作句したのはイギリスのSF作家で詩人のメアリー・スーン・リー。天文学、生物学、化学、歴史、物理学などの要素がミステリータッチの、暗号文っぽい文体で語られている。例えば水素はこんな感じ。

Your single proton
fundamental, essential.
Water.Life.Star fuel. 

君の単一陽子、
基本的で不可欠な。
水。命。星の燃焼。

ふむ。暗号文というのはインスタント・ポエムに最適かも。画像は2010年にデザインされた円形周期表。