2020-05-21

夢の中の死角





外出禁止令中、自分が死んだ夢を見た。

わたしは自分の死体を眺めながら、死体を眺めているこのわたしはいったい誰なのか、と夢の中で考えていた。

眠りは時間を超えるから、夢について語り始めると、かならず疎外の話にたどりつく。時間から完全に自由であることは転倒した自己疎外なのだ。つまり夢とは「限りなく自由であるようにみえて実は自分が殺されている」という輪郭を、もともともっている。

夢が掴み損ねたもの、語り損ねたもの、輪郭を与えられなかったもの  そんな場所にわたしはいた。夢の中の死角に。