2018-01-11

ある冬の日の思い出





きのうは結婚記念日だったらしい。

同居人と一緒になって15年、思えば「夫婦の共同作業」的な会話をしたことがない。

唯一なされたそれらしい会話は、「僕と結婚してくれますか?」とプロポーズされた一週間後に「はい」と答えたことかもしれない。

彼がわたしの姓になった時も、事前になんの話し合いもなかった。

婚姻届を出しに行ったのは、べらぼうに天気の良い冬の朝。青空の下、ふたりで旧街道をぶらぶら歩いて役場に行き、夫となる人がなにやら記入しているようすを横からひょいと覗いたら、戸主が私になっていて、さらに彼の姓が変わっていたのだけれど、とくになんにも思わなかったので、そのままぼんやり眺めていた。

婚姻届を出したわたしたちは、別の道を散歩しながら帰ることにした。

雲ひとつない青空のどこに鳥がひそんでいるのか、のんびり歩いていると、さえずりが空中から降ってくる。

いつしか夫の実家に到着する。お昼ごはんは義理の両親が懐石料理に連れて行ってくれた。また晩ごはんは義母がお祝いの料理を作ってくれて、その日はとても楽しかった。