2021-08-21

わたしの恋の相手





今朝、太平洋のまんなかに住む友達から『いつかたこぶねになる日』の写った写真が届く。うれしい。彼女も6月に溺れかけたそうで、現在は心の傷と向き合いつつ、ほそぼそと海で泳いでいるとのことだった。

夕方の海は監視船がいっぱいで、いちばん近づいたときは4メートル幅くらいで左右から挟まれた。わたしは腰にプールヌードルを巻いていた。まだ足の届かないところは怖いけれど、水に浮くということの、ほとんど笑いに酷似した面白さが勝っているようで、やはりわたしは海に恋したままだった。あまりに好きすぎて、これが片思いであると思うと胸が苦しくて涙が滲むくらい。と書いて『夫木和歌抄』の

わが恋は海の月をぞ待ちわたる海月の骨に逢ふ世ありやと  源仲正

を思い出す。無脊椎動物である海月が骨と一つになる世界が存在しないように、自分は逢うことのできない、海に映る月さながらのあなたを待ち続けているという歌だ。

わたしにとっては海こそが恋の相手であり、この思いはしかし届かず、わたしは永遠にひとりだーーかつてない幸福を享受しながら。