2020-11-10
俳句と文学
いったい俳句は文学なのか?
この種の話はいろいろとむずかしい。なぜなら文学という高次の概念はわたしたちの具体的な営みのあとからやってくる意匠にすぎず、個々の営みはジャンルというものを想定せずに行われるからだ。
実際のところ、俳句にたいする印象というのは人それぞれだろう。わたし自身は歌であると感じる瞬間が多い。また文学や音楽といった意匠をまとうことがためらわれるほど短く、あらゆることを語り損ねるだろうこの詩形の佇まいに、人間の生そのものを感じることもある。
ポメラニアンすごい不倫の話きく 長嶋有
長嶋有の俳句は了解性が高く、それでいてみずみずしい。掲句はカマトトすぎる〈すごい〉の使用法がまさにすごい。技が一つ決まった感じだ。
ところで「一本決まった」ということは、これは大喜利俳句なのだろうか? いやそうではないだろう。その証拠に、掲句は「姦通」という文学における永遠のテーマに言及することで、文学の側にぐっと踏みとどまっている。ただし文学という概念を高次から纏うのではなく、コートのように丸めて脇にはさんでみせたのだ。もしかするとこの句は、文学とはなにかということをさまざまな角度から考え、トライアル&エラーを繰り返した人ならではの返し技なのかもしれない。
(ハイクノミカタより)
2020-11-09
第4回 本の作り手と読む読書会 ~漢詩の〈型〉を旅する夜~
平井の本棚さん主催のイベント「第4回 本の作り手と読む読書会 ~漢詩の〈型〉を旅する夜~」にオンライン出演します。
編集者や翻訳者など、本の作り手とともに作品を味わう読書会シリーズ、編集者の北野太一さん、著者の小津夜景とともに、今回は『漢詩の⼿帖 いつかたこぶねになる⽇』を読みます。
* 詳細・ご予約はこちらをご覧ください。
【日時】2020年12月5日(土)20:00~22:00
【形式】リアル会場:平井の本棚2F
オンライン:ZOOM使用
【定員】リアル10名
オンライン40名
【参加費】1200円(書籍なし)
2800円(書籍&送料込)
書籍付の申込は11月28日締切。
【スケジュール】
①教えて編集者さん(編集者から背景を聞く)
・素粒社のご紹介
・読者の身近にある未知を、本というかたちのもと検出する
・新刊の「予約注文」としてクラウドファンディングをやってみた〜 結果報告
====休憩====
②教えて著者さん(著者の朗読とともに作品世界を味わう)
1 なぜわたしは漢詩を読むのか
2 わたしの目に漢詩はこう見える 〜 時間・イメージ・運動
3 かたちを体感する 〜 好きな詩の見つけ方
4 ことばを造形する 〜 翻訳ルールの決め方
5 タブラ・ラサと記憶、そして朗読
2020-11-07
存在が花する声
小池純代さんの歌のなにがすてきかというと、せつないことを呟きながら、ぺろっと舌を出してみせているかのような、シリアスとユーモアの大胆なフュージョンでしょうか。あと本心なのかふざけているのかを読者に明かさない態度や、アフォリズムを搦め手からつかまえるセンスにも痺れます。下はここさいきんの「音信」より。
花
「存在が花してゐる」とは存在が花のことばで話してゐること
花をみてお酒をのんでやなことは嫌と言ふのが詩人の仕事
贋
はつたりとはりぼてが手に手をとつて素顔のやうに真顔のやうに
ほんものをめざした結果ほんもののにせものといふほんものになる
日
昨日までの日常がいま無可有郷ああ青い鳥あんなところに
日のなかに箱ふたつありひとつに死ひとつに生が匿はれをり
銀
冠雪の朝まで生きたその証われの頭は銀を賜ひぬ
粗塩と麻の布巾でかがやかすためだけにある銀製の匙
2020-11-06
2020-11-05
2020-11-03
2020-11-02
最中より愛を込めて
新しい流木作品を発見。その右に写っているのは海から上半身を出す男性。ロックダウン中は遊泳もパドルも禁止なのだけど、すごいなあ。
まだ発売前なのに『たこぶね』の感想が届く。みなさまありがとうございます。はい、食べ物の話すごく多めです。些細すぎて本には書かなかったこぼれ話をここに書きますと、「愛すべき白たち」の源順(p112)にこんな歌があります。
波立つ池に映る月を見て、つきなみを数えてみれば、今宵は秋の最中だったーーそれでこんなに月がきれいなのだ、といった内容。で、この歌の「もなか」という言葉にヒントを得、もち粉を水でとき、丸くととのえて焼いて甘味をつけ、『最中の月』と名付けて売り出したものが吉原の銘菓「竹村最中月」(p167)なんだそうです。またこれに餡をはさんだものが、いまわたしたちの食べている最中なのでした。
まだ発売前なのに『たこぶね』の感想が届く。みなさまありがとうございます。はい、食べ物の話すごく多めです。些細すぎて本には書かなかったこぼれ話をここに書きますと、「愛すべき白たち」の源順(p112)にこんな歌があります。
池の面に照る月なみを数ふれば今宵ぞ秋のもなかなりける
波立つ池に映る月を見て、つきなみを数えてみれば、今宵は秋の最中だったーーそれでこんなに月がきれいなのだ、といった内容。で、この歌の「もなか」という言葉にヒントを得、もち粉を水でとき、丸くととのえて焼いて甘味をつけ、『最中の月』と名付けて売り出したものが吉原の銘菓「竹村最中月」(p167)なんだそうです。またこれに餡をはさんだものが、いまわたしたちの食べている最中なのでした。
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