海岸のウッドデッキを歩く。長い時の果てに、かけがえのない思い出となるだろう空と海がある。 雲の目線で地上を見晴らしていたら、ふとマスクの人とすれちがう。夢のように。 書物の起源冬のてのひら閉じひらき 寺山修司 かじかんだてのひらを閉じたり開いたりするときの〈かたち〉が書物の起源である、といった見立ての句。身を切るような寒さに震えながら、じっと見つめたてのひらに書物の宇宙を観想する、その漂泊の精神がすてきだ。
書物の起源冬のてのひら閉じひらき 寺山修司