2020-11-12

瀬戸正洋『亀の失踪』





瀬戸正洋『亀の失踪』の装幀は平野甲賀。平野甲賀の字って俳句と相性がいいですねえ。

石蹴りのうしろのうしろ春の闇
数学と化学と三寒四温かな
春の雪そこを曲がれば無人の交番
履き潰すスニーカー石鹸玉が飛んだ
ねぢあやめ醜形恐怖症の男
助数字の「匁」八十八夜かな
世界赤十字の日金平糖べたべた
江ノ島やビーチパラソルのかたちいろいろ
日程を決めかねているばつたかな
行く秋のカレーライスは嫌ひではない
氷面鏡江波杏子の色気かな
冬ぬくし棕櫚の箒が立つてゐる
COVID-19十一月の黒いくれよん

「三寒四温」や「匁」や「COVID-19」あたりの数詞の使い方が好き。〈COVID-19十一月の黒いくれよん〉についてはこちらに感想を書きました。そしてまた、ひもかがみ(氷面鏡)という語のかっこよさよ。江波杏子にぴったりです。