2020-11-19

岩本象一『三八四,四〇〇粁の傘』





紀行をテーマとした岩本象一の器楽曲集『三八四,四〇〇粁の傘』を贈り物として頂戴したのですが、美しすぎて震えました。三八四,四〇〇粁の傘ってなんのことかしら……あ、もしかして、オーロラ? 


封筒の中はCD、詩の紙片、曲目リスト、そしてポスター。曲の使用楽器はピアノ、カチャピ、クラリネット、クラッシックギター、エレキギター、コラ、アイリッシュハープ、シュルティボックス、ボナン、ブンデ、クノン、足踏みオルガン、大太鼓、声で、演奏は重ね撮りなしの完全即興。岩本さんはインドネシアの芸大で学び、公演活動だけでなくジャワガムラン教室も開いている方らしい。


空間とは何なのか?といった問いが、哲人の語る平易な言葉にも似た演奏によって解き明かされる感覚。奏でられた音の〈位置の記憶〉は宙にひろがり、カーテンのように揺らめき、その揺らめきが旅の香りを運び、人に嗅がせるようにも感じました。

楽曲名(下記参照)も面白い。「尭風舜雨」はこちらで聴けます。尭王といえば、わたしは彼の作曲と伝えられる「神人暢」の崇高さが大好きで思い出すたびに聴くのですが、神と人との伸びやかな対話が「神人暢」の光景だとしたら、岩本さんの「尭風舜雨」はカオティックな遊びの光景を思わせます。

陽に寄せて
白銀の丘
モーリタニアの貨物列車
靄を漕ぐ
陸の漁師
香水塔の待ち人
ラプラースの魔物
調子の良い贋作家
尭風舜雨
月を射る
闇を宛て
欺かれるべき
灯台守はどこへ
無形の筏で
碧落の象
火病の皇
三文役者の流儀
風見鶏は仰いだ
オーロラモス
徒党の蹊
老いた目に映すは
嘯く使徒