チャンスだとかシマフクロウだとかを思え 正岡豊
この夏、わざわざ京都に行って入交佐妃・正岡豊とあいまみえたとき、正岡さんが枡野浩一の短歌が書かれたTシャツを着てたんですよ。で、それなんですか?と聞いたら、マスノさんのTシャツだよと言われて、いやそれは見ればわかるけど?と思ったんです。それが先日こちら(*)の対談を読んでやっと意味がわかりました。なるほど。
ところで、正岡さんの俳句を知る人は、あまりいないのではと思うのですけれど、これが正直、誰にも見せたくないくらいわたくし好みなんです。
とかげにもジム・ジャームッシュにも似ぬ生よ
サリドマイドを忘れてしまった水に会う
少女が父をうらんで放送部員になる日まで
それで自分の句集をつくるときも、帯を正岡さんの句で飾りたくて、本人のOKをもらうところまではいったものの、周囲に「自分の句集の帯に他人の俳句をのせるなんてわけがわからない!」と諭されて、ああ、そうなのか、と思ったことがありました。ちなみにこんな句です。
その朝も虹とハモンド・オルガンで 正岡豊
おいしいコーヒーと、遥かなる〈世界文学〉の香りとが混じりあう一句。