2018-08-25

細胞膜新聞(海外支局)





チャンスだとかシマフクロウだとかを思え  正岡豊

この夏、わざわざ京都に行って入交佐妃・正岡豊とあいまみえたとき、正岡さんが枡野浩一の短歌が書かれたTシャツを着てたんですよ。で、それなんですか?と聞いたら、マスノさんのTシャツだよと言われて、いやそれは見ればわかるけど?と思ったんです。それが先日こちら(*)の対談を読んでやっと意味がわかりました。なるほど。

ところで、正岡さんの俳句を知る人は、あまりいないのではと思うのですけれど、これが正直、誰にも見せたくないくらいわたくし好みなんです。

とかげにもジム・ジャームッシュにも似ぬ生よ

サリドマイドを忘れてしまった水に会う

少女が父をうらんで放送部員になる日まで

それで自分の句集をつくるときも、帯を正岡さんの句で飾りたくて、本人のOKをもらうところまではいったものの、周囲に「自分の句集の帯に他人の俳句をのせるなんてわけがわからない!」と諭されて、ああ、そうなのか、と思ったことがありました。ちなみにこんな句です。

その朝も虹とハモンド・オルガンで  正岡豊

おいしいコーヒーと、遥かなる〈世界文学〉の香りとが混じりあう一句。