2021-05-19

作品16句「マグリット式」





俳句四季6月号に、作品16句「マグリット式」を寄せています。

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外に出ると、草花が陽に匂う。ランタナ、チェリーセージ、ブラシノキ、スタージャスミン。家ごとに生垣がちがって見飽きない。オリーブの樹木がきなり色をした小さな花をつけ、ナツメヤシの幹の皮のむけた傷口から、いったいどうやって種をつけたのか赤い花が湧いている。幹から血がふきだしてるよ!と誰かが叫ぶ。次の瞬間、子どもとすれちがう。思わずふりかえると目の前がレストランだ。今日からコロナの自粛があけて、カフェとレストランのテラスが再開している。陶器や酒瓶のかけらを埋めこんだ漆喰塀の上から、おおなだれといった調子でブーゲンビリアがこぼれている。