ディネーセンの『アフリカの日々』に、広大なサバンナに棲むキリンの群れが、上下に首を揺らし、その長い脚を折り曲げてゆっくりと原っぱを移動するさまを、あたかも毒の斑をまとったうつくしい百合族がおのずから動いてゆくかのように高貴である、と形容した個所がある。
キリンの集団の動いている場所は、そこだけまったく違う固有の時間が流れている。どんな生き物にも固有の時間はあるけれど、キリンほど桁外れにおおきく、ゆるやかに、それを感じさせる生き物をわたしは知らない。彼らは柔らかな楼、そう、まさに蜃気楼のように空中を滔々と流れてゆくのだ。
写真はとある雑誌の特集に載っていた、アルジェリアの砂漠にある8000年前の壁画。この地域でキリンは崇拝の対象だったそう。
キリンの集団の動いている場所は、そこだけまったく違う固有の時間が流れている。どんな生き物にも固有の時間はあるけれど、キリンほど桁外れにおおきく、ゆるやかに、それを感じさせる生き物をわたしは知らない。彼らは柔らかな楼、そう、まさに蜃気楼のように空中を滔々と流れてゆくのだ。
写真はとある雑誌の特集に載っていた、アルジェリアの砂漠にある8000年前の壁画。この地域でキリンは崇拝の対象だったそう。