2017-07-07

選考会というアトリエ





ふらんす堂から田中裕明賞選考会の冊子が届きました。

受賞以後、メールで俳人以外の方とやりとりしていると、それはもう沢山の方から直接「俳句ってのは自由ですねえ」とか「フラカンみたいな本が賞を獲るなんて、うちの業界では考えられません」とか「短歌の章があるのに句集の賞!」とか「俳壇、まじ寛容だな!」などと言われます。言われる方は、もちろん軽い冗談だと分かってはいるのですけど、でも多少は本心も混じっているのが伝わってくるので「ふうん。ここは懐の深い、個人の資質を驚くほど大切にする業界だったんだ。ぽわーん…」と幸せな気分に。これをひとことで言うと

蝸牛ぽーとほほえみわたるかな  岩尾美義

って感じでしょうか。

なによりも嬉しいのは、俳人以外の皆さんがお祝いを仰るとき、かならず俳壇を褒めること。おそらく裕明賞受賞者の中では、ダントツで俳壇を褒めさせているはずです。てへ。

で、その俳壇ですが、わたしにはほとんど未知の領域。唯一知っている田中裕明賞について個人的感想を述べると、この賞は審査する側が権威としてふるまったり、あるいは審査される側が旧来の価値観に追随(あるいは打倒)したり、といった大衆迎合的&通俗的な色彩が薄く、むしろ審査する側&される側双方のコラボレーションによって俳句のポテンシャルを広く組み替えてゆく作業場的な印象を受けます。自分にも居場所があったのは、そういった、選考現場に存在する〈アトリエ的雰囲気〉ゆえなのかしらと思ったりも。