2018-12-15

私に言葉を与えるもの




土曜日の読書、更新しました()。北方領土の思い出です。
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海へゆくと、カモメが水の上で、影文字を描いていました。

文字のかたちが移り変わってゆくのが、楽しい。

私は、これまでの人生で一番長く住んで、よく知っている場所というのが、学生時代を過ごしたパリと京都なのですけれど、このふたつの町のことは、他人から尋ねられてもうまく話すことができないんですよ。

なにも言うことがない。自分でも怖いくらいに。

で、どうしてだろうと長い時間をかけて内省するうちに、海のない土地の話はしない、といった強い傾向が自分にあることに気づきました。

海は、そこにあるだけで、私の中の柔らかい部分をきざんだり、はぐくんだり、するようです。

そしてまた私に言葉を、さらには文字を与えるものの正体も、どうやら海なのでした。