2019-01-16

122年前のリアル・サバット part 1





サバットはフェンシングの師範ミシェル・カスー(Michel Casseux, 1794-1869)が創始したフランスの近代武術。その起源は古代ギリシアのパンクラチオンに遡ります。カスーがサバット教室を公式に開いたのは1825年で、彼の弟子が「決闘を排した試合、身体強化法、上流階級の護身術」を前面に押し出し、パリを中心に大流行させました。上は1900年の絵葉書。


こちらは作家のテオフィル・ゴティエが1847年8月16日のLa Presseに執筆したサバット認定試合の挿絵。すごく高い蹴り。もともと南フランスには海賊由来のショソン(chausson)なる足技武術があるのですけれど、この挿絵の見出しもサバットではなく〈手技boxeと足技chaussonの認定〉という言い回しになっています。


こちらは1897年の動画。122年前です。この動画を教えてくれた飯島章友さんによると、「むかしの西欧では下半身(へ)の攻撃は下品と見なされていたようですが、サバットは足の攻撃が主流でとても珍しい」とのこと。面白そうなので技の体系を調べてみたところ、フランスのギャング・盗賊・農民の間に古くから伝わる足技を収集・体系化し、のちに英国ボクシングの手技を足したとある。うーん、つまり戦士由来の戦い方じゃないからってことなのかしら。

この動画では古式ゆかしき型がわかるし、棒術も地に足がついています。あ、パリでは昔、紳士はステッキを携えていたから棒術はとても役に立ったみたいです。