2019-12-26

街で過ごす





スイスより客人あり。お昼ごはんを共にし、旧市街を案内する。レストランの本日のおすすめは焼き鱸。釣り上げたばかりでとてもおいしかった。

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秋登宣城謝朓北楼  李白

江城如画裏 山暁望晴空
両水夾明鏡 双橋落彩虹
人烟寒橘柚 秋色老梧桐
誰念北楼上 臨風懐謝公

秋、宣城の謝朓、北楼に登る  李白

川べりの街は画のようで
澄みきった空に夕ぐれの山がみえる 
両筋の川は明るい鏡と化して街をはさみ
二本の橋が美しい虹に扮して水にゆれる 
人家の煙は蜜柑の木にさむざむと
秋の気配に青桐の葉が老いてゆく
誰も気づくまい この北楼の上に
風に吹かれつつ謝朓を想うわたしがいるとは

宣城は町の名前。李白は謝朓の大ファンで、謝朓が建てたと言われる北楼にのぼって町を一望し、この詩を書きました。

この詩は情景描写のしっかりしているところが気持ちいい。あと5、6句が、一句ずつ眺めると語と語のあいだの余白が大きくて、表現を足さないと和訳できなそうにみえるのですが、二句が隣り合うとお互いの足りないものを補いあっていて、あ、何も足す必要がないんだとわかります。