2020-06-05

書き手はどのように音を聞くのか?



昨日「三三七拍子は実は四拍子」とのツイートを目にして、ふと、俳句や短歌にも「七五調と四拍子とが連動している」といった考え方があることを思い出しました。

ちなみにわたしも子どものころはそう思っていたんですが、今は違います。理由は100%書き手目線で考えているから。

また仮に「七五調と四拍子とが連動している」という考え方(国語学でいう「拍子」は西洋音楽や西洋詩・漢詩の韻律などと違って少しややこしい)に従うとしても、書き手目線でいうと作品の音数は使用する単語とその組み合わせによって決まるので、各句の文字上限は8音とは限らない。

目をつむり髪あらふとき闇中にはだいろゆふがほ襞ふかくひらく  松平盟子

この歌の第5句は9音ですが、実際の拍子はhの強勢からなる三連符が続くので最大12音まで入ります。もちろん強勢のない不定形(無拍節)の長いフレーズだって、言葉のテンポをひっぱる力が書き手にあればリズミカルに収まるのです。

ついでなのでパフォーマー目線でいうと、わたしは俳句は四拍子ではなく、五拍子七拍子五拍子で読むのが好きです。五拍子が好きなんですよ。日本では夜多羅拍子なんて言われますけれど、実は四拍子より全方位的で安定感があると思うんです。ただ立体的な分、風景を前進させる力には欠けるから、前進に興味がない人向きですけれど。