新涼やギンガムチェックの三姉妹 佐々木千雅子
この句のキャラクターをつくっているのは「三」という数字。この数字のおかげで句の輪郭がぐっと鮮明になっています。またこれと同様の感想を〈師を囲みマスクメロンを六等分〉〈新涼や四隅伸ばして布巾干す〉にも持ちました。選り抜かれた道具立てで生活の一コマをピンナップする確かな技倆、登場人物の機微をかもすほどよい抒情、余裕のある雰囲気なども魅力的。
ハムカツのハムのピンクやビール干す 田中 槐
俳句的トリヴィアリティあふれるハムカツの断面。やたらかわいいピンクという語。お酒のすすむB級グルメ的色彩。カタカナ多めのカジュアル感覚。座五〈ビール干す〉の定番感。と、こうした要素が読者を幸福な気分へと誘っています。〈ハムのハム/ハムのピンク/ピンクやビール〉といった韻律展開も好きでした。