2022-05-18

たこ八郎観音 空も海も夏




須藤岳史さんがブログを始められたとのこと。過去に巻いた歌仙なども整理されていて、いつどこでなにを巻いたのか覚えていない身としては大いに助かる。どのくらいの頻度で更新するのかしら。とりあえず待ってみよう。

昨夜、突如として大量の句が生まれるゾーンに突入し、わたしは西鶴の生まれ変わりだったのかと思ってみたくなるくらい、まあ、そこそこ句が浮かぶ状態である。で、こういうときにちょっと困るのが類想句で、たとえば今朝は〈夕映えが白い魔球を連れてくる〉という句を思いついたのだが、これって西原天気さんの〈ゆふぐれが見知らぬ蟹を連れてくる〉と似てますよねえ。ま、西原さんは「いえ、だいじょうぶです」と仰るにちがいないんだけど。ちなみに西原さんの夏の句ではこれが好き。大変な傑作だと思う。

たこ八郎観音 空も海も夏 西原天気

2022-05-16

岸惠子の写真




今年に入ってからアルジェリアの独立運動について調べているのですが、その資料となる昔の新聞を読もうとしたら紙面中央が岸惠子の写真に占拠されていました。岸惠子がパリの空港に到着したことを報せるだけの写真記事。これほどのスターだったとは。

2022-05-13

はじめての詩歌と季刊アンソロジスト




6/19(日)まで梅田蔦屋書店にて7周年フェア「はじめての詩歌 vol.3」が開催されています。俳人の津川絵理子さんの「とっておきの一冊」として『いつかたこぶねになる日』も並びました。「はじめての詩歌リーフレット」無料配付中。お近くの方はぜひ。

季刊アンソロジストが届いたので芥川龍之介の短篇ベスト10を読む。わたしの好きな芥川作品は「河童」と「歯車」なのだけれど、「河童」を挙げていた人はいなかった。「歯車」は吉村萬壱さんが選んでいた。このエッセイ、吉村さんがとんでもなく生きづらそうな日々を送っているようすが面白い。「歯車」を読むと「狂気の熱は冷やされ、限りなく死に近い平安が訪れる」という感じ、すごくわかるなあ。苦悩の向こう側に抜けられるんですよね。とはいえそこは廃人の一丁目一番地。そして四方一面は番外地の曠野なのであります。

理屈抜きの現実体験として、芥川の小説とウクライナが織り成す悲惨さに殆ど狂わんばかりに沸騰していた私の脳は、小説「歯車」によって初めてスッと鎮められたのである。こういうことか、と私は思った。被害妄想と希死念慮に満ちたこの異様な小説の持つ「光のない闇」によってのみ、狂気の熱は冷やされ、限りなく死に近い平安が訪れるらしかった。(吉村萬壱「ウクライナ情勢と芥川龍之介」)

2022-05-11

動画公開見送りのお知らせ




最近、某所の寄合で「BBCのドラマ『プリズナー』って観たことないんですけど、画像がどれもかっこよくて気になっているんです」と話したら、ある俳人が「あれ、主演のパトリック・マクグーハンが脚本、監督もやってるんですよ」と教えてくれて、いま衝撃の沼をさまよっている。パトリック(とファーストネームで呼んでしまおう)といえば刑事コロンボ。彼が犯人と監督を兼任した「完全犯罪の誤算」がとても私は好きなのだ。

ニコ動に「完全犯罪の誤算」があったので軽く見直した。こんなにもいい役者だったんだなあ。高校生のころはピーター・フォークに夢中だったけど、いまとなってはピーターよりパトリックの方が断然味わい深い。

話は変わって、スケザネ図書館で公開予定だった「連句についての番外編」ですが、今回は公開見送りとなりました。理由は私がそうお願いしたから。実は連句を語る折、思わず『なしのたわむれ』の内容を自解してしまったのです。でも作者と作品は別のものですし、テキストは書かれたことがすべてですよね。だから「これはちょっとなしです」とスケザネさんに申し上げた次第。須藤さんの語りを楽しみにしていらした方々、本当にすみません。またの機会をお待ちください。

2022-05-08

寓意的な、あまりに寓意的な。




昼間は軽い雨。夕方から晴れ。夜8時ごろ海へ出ると、かくのごとく(写真を拡大してください)女性がぐっすりと眠り込んでいた。寝ているなあと思いつつ浜辺を見回すと、寝落ちした人影があちこちに散らばっている。寓意的な、あまりに寓意的な景色。なぜかBBCのSFドラマ『プリズナー』を思い出す。

それはそうと、今日から縦書きで原稿を書いている(いままでは横書きだった)。縦書きだと文字を草書にできるので手が楽だし、素早くリズミカルに書ける。リズムに乗ると、少女のころに浴びるように読んで体の根っことなった文体がぴょこんぴょこんと顔を出すのも面白い。で、しみじみ思った。ああ、結局わたしって筒井康隆からできてるんだよなって(知ってたけど)。

先日巻いた堀田季何さんの受賞記念連句を、羊我堂さんが画像にしてくださった。いつもありがとうございます。

2022-05-02

異文化への開眼





今日はトラムの中で本を読んでいて、目的の駅で降り損ねてしまった。気がつけばそこは終点の港。あわてて引き返して家にたどりつき、ほっと一息ついていたら、パリに行く用事があったことをふと思い出したので、飛行機のチケットをとった。で、いまからどきどきしてる。パリの空港から市内まで行けるかどうか不安で。ぼんやりしてすぐ乗り過ごしてしまう。

前回の日記で紹介した『酔拳』の冒頭2分から3分のシーンを観てくださった方が多く、黄正利も御年77歳なんですねえなどといった感慨に浸る手紙から、題字がかっこよすぎてスクショしちゃったという嬉しい手紙まで様々な感想をいただいている。ちなみに日本版の冒頭はこちら。ジャッキー・ファンには垂涎ものの編集である。でもわたしはオリジナル版が好き。なぜなら自分にとって『酔拳』の衝撃とは中国文化が圧倒的な異文化であることへの開眼と同義であり、そのことを教えてくれたのがあの題字と音楽だったからだ。

それはそうと、近々スケザネ図書館で『なしのたわむれ』番外編動画が出るらしいです(わたしもまだ見ていない)。また別の番外編として「音楽の価値とは何か」について語った須藤岳史さんのエッセイがこちらで読めます。

2022-04-30

映画『酔拳』における黄正利と題字と音楽





さきほど須藤岳史さんとの共著『なしのたわむれ』刊行記念対談が公開されまして、その動画の47分あたりから広東語版の映画『酔拳』冒頭における黄正利の足技と題字と音楽とのマリアージュについて語ったのですが、実際の映像がこちらになります(吹き替え処理以外は広東語版そのままです)。開始2分から3分20秒あたりがわたしの推しシーン。幸運なことにファイトシーンなので台詞はなし。皆様お願いです。騙されたと思ってどうか見てください。なにかとお忙しいところ誠に恐縮ですが、ぐぐっと音量を上げて、できましたら最初から…。

黄正利はですね、去年帰国した折に毎日散歩していたのが巣鴨駅周辺で、ちょうどプロレズグッズ販売の聖地・闘道館があったんですよ。と、こう書くとプロレスにちょっと詳しそうですが全然そうではなく、周囲にプロレス愛好家が多いせいでそこがどんな場所かをたまたま知っていた。で、「ここが闘道館か」と思いながら店の外壁を眺めていたら「ザ・グレート・サスケの大予言」とか「300分5本勝負、全日本プロレス48年を語りつくす。ターザン山本×和田京平」とか「ブル中野、女帝反省会」とかいった催し案内のポスターがびっしりと並ぶ中、ふいに「龍熱トークライブ2020黄正利スペシャルイベント最恐無敵!シルバーフォックスナイト」と書かれた一枚が目に止まったんです。心臓破れるかと思いましたよ。トークイベントは日本初だと書かれていたのには驚きましたが、S席8000円という値段も衝撃でした。往年のファンたちはこの倍の値段でも馳せ参じるに違いないでしょうけど。わたしだって日本にいたなら観に行ったもの。上の画像がそのポスター。記念に写真だけ撮りました。

2022-04-29

海はいちまいの布に似ていた




本日22時より、須藤岳史さんとの共著『なしのたわむれ』刊行記念対談がスケザネ図書館にてプレミア公開されます。自著を語るのではなく、執筆にまつわる周辺の話および視聴者からの質問に答えるといった内容になっています。

海は夕暮れ。静かな一刻。釣りをする人。そしてカモメ。