裏手まで火の粉の香る惜字楼 夜景
●土曜日の読書「文字の泡」更新。引用は篠田桃紅『墨いろ』より。追記で書き散らしたあとの紙の話。昔、中国では文字の書かれた反故のことを「惜字紙」とよんで、反故専用の焼却炉で焼いていました。この焼却炉の名称は、惜字楼、惜字炉、惜字塔、焚字庫、字庫、焚紙楼、文風塔、文峰塔、敬聖亭、聖蹟亭、敬字亭などさまざまなヴァリエーションがあり、いずれも反故への愛惜が感じられます。
●4月から続いてきた往復書簡LETTERS、最終回「この地上で」更新(上はこちら、下はこちらです)。連載中は相手の言葉に付きすぎない返事を出すよう心がけていたので(「即き過ぎ」を避けるのは俳句の礼儀作法らしい。そう聞いてから、甘やかな文体の時でも、芯の部分でツンデレのツンを崩さないようにしている)、やりとりを終えて、いまはじめて須藤さんの言葉にぴったり寄り添った返答を心の中に思い描いています。もしもまた手紙を書くことがあれば、このぴったり寄り添った言葉から語り起こしてみたいと空想しつつ。
●山の上に自生していた写真のいちじく。熟れているのをもぎとってかじると渋味があって、おいしくは、なかった。