土曜日の読書「文章に惚れる」更新。引用は小沼丹「童謡」より。
言葉は生き物なので、なかなか自分の思い通りにはならないなあと思います。書くときは言葉と息を合わせないといけないし、内容に引けをとらないくらい間合いや分量が肝心ですし。
「いかに、なぜに、こう思うか」を正確に説明しようとすること自体が、誠実さではなく我欲にすぎない状況というのも多い。例えば「好き」と伝えるための言葉が、間合いや分量を誤るとまったく無意味と化すように、同じことを言っても響く声と響かない声というのがある。
わたしは「自由を訴える」のではなく「自由そのものを追い求める」パフォーマンスが個人的に好きなのですけれど、土曜日の読書の本文で触れた安西水丸のイラストレーションは、あ、自由ってこんなふうに生まれるんだ、と気づかせてくれるところが素敵です。楽しいだけでなく、一つのアイデアを実演してくれている。〈自分のかたちを見つける〉という作業に関して、ものすごく発明的なんですよ。