2020-08-02

海を眺める暮らし





毎日海に通っている。時間が自由になる日は早朝、そうでない日は夕食のあとに行く。家人は素潜りをし、わたしは足のつくぎりぎりの場所で遊ぶ。浮き輪があったほうがいいこともわかったので、来週は近所の雑貨屋さんにスイカの柄の浮き輪を買いにゆく。

晩年のジャック・マイヨールみたいな男性が、赤と白のしましま帽をかぶり、右へ左へ、たこのようにゆらゆらと泳いでいる。年期の入った、とてもユーモラスな遊泳だ。

世の中に恋しきものは浜辺なるさざえの貝のふたにぞありける  良寛

海にちなんだ一首。文句なく素敵である。このとき良寛は、さざえのふたを傷薬のふたにしたくて、この和歌を書いて人に送ったとか。

いにしへに変はらぬものは荒磯海(ありそみ)と向かひに見ゆる佐渡の島なり  良寛

これもいい。海を眺める暮らしの良さが、すんなりと伝わってくる。