2020-07-31

半生は舟を持たないままに過ぎ





今日は病院の日。予約制なので、待合室にはわたし一人。暑いからか、ベランダにも椅子が出ていた。というわけでそこに座り、医者が呼びにくるまで待つ。

* * *

連句誌『みしみし』6号を読む。好きだったのはこのくだり。

憂国の志士つどひたる龍土軒  媚庵
切断される赤い鉄骨  桐子
飛び越えた火が褌に燃え移り  恵

褌の句、かっこいいですねえ。それからもうひとつ、一句で光を放っていたのがこちら。

半生は舟を持たないままに過ぎ  ゆらぎ

なんて美しい付句なのでしょうか。すぐに大室ゆらぎさんの作品が読みたくなって、ぱらぱらとページをめくると、ありました。

禾のある落穂拾へば麦の粒溢れて爾余は風に攫はる
滝壺に視線を落とす身体よりずつと遠くに行ける視線を
墓山の崩れに細くたよりなく這ひまつはれる夏藤に花
大室ゆらぎ「鄙の夏」より

すばらしい歌。出会えたことが嬉しかった。