2020-12-28

音と身体





チューニングって、楽器同士の音色を合わせるだけでなく、音の鳴る環境と人間の身体をなじませる儀式でもあるように思います。つまり人間が音を制御するための準備にとどまらず、人間そのものを自然のフィールドとして捉え直し、環境と一体化させる、という。

でね、プロの演奏家は音と身体が一瞬でなじむのでしょうけれど素人はそうじゃない。それでクラシックの演奏会に行くと、うそ、いきなり本番? まだ身体が受け入れ態勢になってないよ!ってことがある。身体が準備できていないというのは、つまり心も準備できていないということ。

そんなわけで、本番前に軽いサウンドマッサージのついたクラシックの演奏会があるといいなと思うんです。レストランでも胃を起こすために、メインの前にほんのひとくち食べるでしょう? あんなふうに、雅楽の音取(ねとり)っぽく音出ししてから本番に入ってほしいの。これ、自分の家に演奏家を招いて弾いてもらうというのが、きっといちばんいいんでしょうね。