今回の帰国はこれまででいちばん長かったけれど、いちばん時間がなかった。その時間のあいまを縫って、きわめてプライベートな事情から大塚泰子さんのアトリエにうかがう。壁一面に白い模型のならんだ静謐な空間。人間にとっての家が、どれだけ〈記憶としての装置〉たりうるのかについて、実体験をもとにつかのま語り合う。
待ちに待った今日、小津夜景さんご夫婦がニースの香りを纏い、いらっしゃってくれたのでした。お二人にお渡ししたくて作品『one』miniを作りプレゼントしました。また気持ちが落ち着いたら今日のこと、頂いたお土産のことなどblogでアップしたいと思います。 pic.twitter.com/KFWqTb8mlw
— 大塚泰子 (@noanoadreams) March 3, 2021
頂戴した『one』miniを自宅でひらいてみた。
小さな家と家とのあいだを、毛細血管のような赤い糸が何重にも取り巻いている。ひとつだけ矩形の外にこぼれた家があるが、それにも赤い糸がしっかりと巻かれていた。
ちなみに大塚さんからは「このオブジェは壁にかけてください」と言われた。そうすると赤い糸がこぼれた家を吊るかたちになるだろう。まるで命綱のように。