2022-05-25

なんという薔薇





現在発売中の『俳句界』6月号に散文「そのときは世界が」を寄稿しました。海外詠について自作を引用しつつ述べよ、との依頼です。お手に取る機会がありましたらお読みいただけますと幸いです。

朝から句集のzoom打ち合わせ。担当者と会うのは初めてでしたが、素敵な方で思わず緊張してしまいました。なんとせっかく準備した目次を伝え損ねてしまうくらいに。さらには打ち合わせしながら「あれ、句集ってどういうふうにつくるんだっけ?」とわからなくなってしまった。ははは。緊張しすぎですよね。とはいえ、わからなくなって良かったような気もします。だってまっさらな状態で句集をつくることができるのですから。

佐藤りえさんから生存確認系個人誌『九重』が届く。今回のゲストは岡田幸生さんと近恵さん。

春の日の遠くでトロンボーン  岡田幸生
明るさを要求されている浅蜊  近恵
たんこぶがこたんのいろをみせてゐる  佐藤りえ
糸杉のねじれはじめの十四月翳りでさえも春はうれしい  〃

岡田幸生さんといえば、私、あの「なんという薔薇日記」のファンだったんですよねえ。内容もさることながら日記のタイトルがすごく好きで。哀愁と愛嬌があって、なおかつ洒落ている。ちなみに、わたしがこれまで出した本のタイトルはどれも、本棚のガラス戸に「なんという薔薇日記」と大きく書いた紙を護符みたいに貼って、じっと眺めつつ、これと同じくらいかっこいいタイトルはないかしらと思案した結果生まれたものです。もうね、それくらい頼りにしてる。

くれなずむ東海道の平塚の痴呆の部屋のなんという薔薇  岡田幸生