2023-12-09

新刊『ロゴスと巻貝』刊行のお知らせ





細切れに、駆け足で、何度でも、這うように、
本がなくても、わからなくてもーー
読書とはこんなにも自由なのですね、小津さん

山本貴光
(文筆家・ゲーム作家)

※目次※

読書というもの/それは音楽から始まった/握りしめたてのひらには/あなたまかせ選書術/風が吹けば、ひとたまりもない/ラプソディ・イン・ユメハカレノヲ/速読の風景/図書館を始める/毒キノコをめぐる研究/事典の歩き方/『智恵子抄』の影と光/奇人たちの解放区/音響計測者(フォトメトログラフィスト)の午後/再読主義そして遅読派/名文暮らし/接続詞の効用/恋とつるばら/戦争と平和がもたらすもの/全集についてわたしが語れる二、三の事柄/アスタルテ書房の本棚/ブラジルから来た遺骨拾い/残り香としての女たち/文字の生態系/明るい未来が待っている/自伝的虚構という手法/ゆったりのための獣道/翻訳と意識/空気愛好家の生活と意見/わたしの日本語/ブルバキ派の衣装哲学/わたしは驢馬に乗って句集をうりにゆきたい/そういえばの糸口/月が地上にいたころ/存在という名の軽い膜/プリンキピア日和/軽やかな人生/料理は発明である/クラゲの廃墟/人間の終わる日/本当に長い時間/梨と桃の形をした日曜日のあとがき/引用書籍一覧

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2024年1月9日、アノニマスタジオから新刊『ロゴスと巻貝』が刊行されます(束見本の写真はこちら)。依頼されたテーマは「これまであなたはどんな本を、どんなふうに読んで来たのか」というもの。その問いに、ふわっと答えた、全40篇のエッセイ集。手にとっていただけると、とても嬉しいです。

ふわっと、というのはええと、なんて言えばいいんでしょう、まあ、依頼どおりのことをそのまま書くのは嫌だったんですね。だって読書遍歴を語りなんてしたら、人生が物語性を帯びるのを避けられないじゃないですか。愛読書も告白したくない。照れくさいもん。良書を並べるといった切り口も、他の本との差異化を図るのが難しいから却下。しょうがないので読書論でも書くかなと思ったんですが、よく考えたら世間に披露するほどの見識がないのでした。そんなふうにあれこれ迷走した末、最終的には身のまわりの出来事から書き起こして、その流れにちょうど合う本の話をするといったスタイルに落ち着いた次第です。

思い返せば、初校が仕上がったのが10月下旬。で、それをですね、帯文を依頼した山本貴光さんにお送りしたんですが、もうこれが嫌で嫌で。だってわたしの初校ってほとんどメモ帳なんだもん。あたりをつけただけの状態。恥ずかしすぎる。山本さん、衝撃で絶句なさったんじゃないかな、生きるって、ほんと恥ずかしいことの連続だな、ってゆーかこれほんとに間に合うんだろうか、などと心の中でぶつぶつと呟きつつ、冒頭からまるごと書き直して、数日前ようやく校了しました。