2018-03-01

ヌアヌの風に、君は今。





1930年8月17日付の「日布時事」を読んでいましたら、こんなイカした短歌を発見。

ヌアヌ風そよ吹くあたり君は今、碁かマージャンか午後三時なり   赤松祐之

その昔、天上の神々の住処だったオアフ島ヌアヌ。そんなヌアヌの森はハワイの王族達の愛した避暑地としても知られ、森の中の聖地カニアププにゆくと、今もわたしたちはカメハメハ3世の夏の離宮と出会うことができます(写真の遺跡がそれ)。

赤松祐之は元小説家志望のホノルル総領事。この歌はですね、日本に帰国する赤松氏が、クィーン浅間丸のデッキ・チェアーに寝そべってホノルル生活を思い出していたところに、総領事館一同から無事の航海を祈る電報が届いたのだそう。で、それに返事すべく、万年筆をとりだしてスラスラと一同に宛てた〈短歌電報〉だったのですって。

内容も韻律も気さくで、俗っぽいのに、とっても優雅。それにしても電報が歌というのはいいですね。こんな電報が届いたら、懐かしさがあふれて泣けちゃいそう。