2018-03-07

ヒエラル墓地の昼の一日



句集が欲しいのに手に入らない崎原風子。本名の崎原朝一で検索すると、こんなに情報があったなんて。知らなかった。辻本昌弘『語りーー移動の近代を生きる あるアルゼンチン移民の肖像』は一冊丸ごと彼の人生を記録した本。おもしろそうだ。

い。そこに薄明し熟れない一個の梨   崎原風子
Dの視野にあるヒロシマの椅子の椅子
ヒエラル墓地の昼の一日の大きな容器
8月もっとはるかな8へ卵生ヒロシマ

独自の無表情をつらぬくレンズの中に、発光する鉛のごとき稀有な実在感が捉えられている。風子は詩人でもあり、守屋貴嗣氏の論文に少しだけ作品が引用されていた。

あらゆる高さから
あかるい同義反復
三角形を擁立したがる
未来という属性
メンスの
午後八時だけが永久だ
(「ビニールパイプ」部分)

2014年11月4日に亡くなっていたのですね。これも知らなかった。