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1933年3月5日付の日布時事に「歌壇随見録」と称して口語短歌の力を論じた記事がありまして、こんな歌(表記ママ)が紹介されていました。
はじめの歌は現代詩的な不条理、あるいは社会主義的リアリズムの影響がその文体から読み取れますが、あとの歌は完全に狂歌ですよね。こういうのを読むと、現代短歌は狂歌と合体することでその懐を豊かに(もちろん混迷込みで)育んできたのだな、と改めて思います。
生いもをかじる子供ら真黒な口を揃えて唄うたつてる
たつた一年の作はづれでも十九年育てあげたる娘売るのか
金があれば癒る病で死んだよと死亡届に書きたい心
はじめの歌は現代詩的な不条理、あるいは社会主義的リアリズムの影響がその文体から読み取れますが、あとの歌は完全に狂歌ですよね。こういうのを読むと、現代短歌は狂歌と合体することでその懐を豊かに(もちろん混迷込みで)育んできたのだな、と改めて思います。