2018-04-30

乳色のミラクル




古屋翠渓『流転』。うれしい。これから少しずつ読みます。

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先日『川柳スパイラル2』のことを書こうとしたら、グリオの話になってしまいました。数句、気ままに引くつもりだったのに。

遠景を小さくたたむ菓子職人  岩田多佳子

浮世絵のように走ってゆく男  猫田千恵子

カレンダーガールだらけだった岬  丸山進

それぞれに異なる味わいですが、構成力があるという点で、いいなあ、と。こういう感じの句を、歌仙で出せたら最高だろうな、とも思ったり。

カメムシに吸われたあとの午前2時  小池正博

この方は2枚目な句が多い。バカを言ってみても、着地が必ずエレガントなんですよ。

やめたひとだけが集まるどうぶつえん  柳本々々

哀しく、可笑しく、怖い。そういえばこの方は『川柳スパイラル1』に、

はろー、きてぃ。約束の地にまるく降り立つ  柳本々々

というごきげんな川柳を出していて、それも好きでした。雪舟えまの近未来感覚が憑依したかのような、乳色のミラクル感があります。春陽堂の公式サイトで5月からはじまる「もともと予報 365日川柳日記(+挿絵:安福望)」も楽しみです。