2018-09-24

音のない波



冬の朝、川からのぼる熱が一瞬でダイヤモンドダストと化す湿原で、くすぶる水の中の動物と出会ったことがありました。

夏の朝、どこにでもある海岸で、きらめく灰をふみしめたことも。

くすぶる水もきらめく灰も、その正体は霧です。冬川の蒸気霧、夏海の移流霧、秋陽の放射霧といったふうに、霧にもいろいろな佇まいがあります。共通しているのは、それがいつも、音のない波のように流れるということ。