2018-09-28

木陰のお茶と、徒手空拳の話





詩客に作品を寄稿しています()。編集部からは既発表も大丈夫ですと言われたので「出アバラヤ記」の初出稿(攝津賞受賞時のもの)から摘まみました。すべて句集でボツにしたものです。別に手を抜いたわけではなく、句集を買ってくださった人には、あれがもともとどんな作品だったのかわかると面白いかもしれないと思って、勇気を出してお蔵出ししたのでした。

初出稿には短歌も盛り込まれていまして、いまおそるおそる掲載誌を開きましたら、なんと12首も書いていました。やばいってゆうか、死にそう。でもね、これに応募したときは俳句を知らなかったので、その状態でパフォーマンスするとなると、もう体当たりしか技はないんですよ。たださすがに自分でも「凡庸だなあ」と思いまして「体当たりの割には迫力にかけるから短歌でも足しておこうか」ってな動機で飛び道具的に短歌を盛り込んだのです。恥ずかしさついでに何首か引きます(2首目は沓冠折句)。

ひとの世の熱はただれていくどなく白豚の毛に犯された画布
言ひかけた論より、見なう、花々は虚(うろ)よいさうろたへな残命
アウロラよあらむとすらむ遠の地を烽火の果てに見棄てたまへよ
ことあらばかくも常世はとりどりのげにおどろなる赤きはなびら
紅き茶にざらめの小舟沈没すなほ箱庭に生きながらへて
さるびあに痺れし指(および)すべからく世界は意味にそびえたつべし