2018-09-06

旅するニーチェ






日経の「読書日記」、第3回はニーチェ『この人を見よ』です()。

ニーチェは35歳で教職を辞してから発狂するまでの10年間、ずっと旅をしていた人らしいです。おもしろいのは、彼の旅が、昔ながらの漂白ではなく、当時生まれつつあったリゾート地を渡り歩くといったカラフルな情緒を(病気療養の為とはいえ)有していたこと。著書の大半を書いたのも旅行中なんですね。

鉄道世代、かつリゾート開発世代のニーチェ。パトリック・モリエス『ニースのニーチェ』はそんな彼がニースで過ごした2年間を追った本。土地の自然を愛しつつも、すでに大都市の萌しがあったこの町の騒音に辟易していたりも。こちらのブログ()で知ったのですけど、手にしてみたら本文は50ページしかなかった。

だいあろおぐあきらめに似て照る月は言葉の海を笑つてゐるのさ
紀野恵