2018-10-04

朝の読書



朝の6時から読書をしている。

読んでいるのは江戸時代のロングセラーブック『和歌食物本草』だ。夜景さん、こういうのお好きじゃないですか、とある方が教えてくれた。

ごく身近な食物の効能や害毒を、膨大な和歌で説明している。

ふと奥村晃作の「ただごと歌」を思い出す。「ただごと」という概念はモノ派とかそういうのじゃなくて暗記術としての和歌、あるいは覚え書き和歌の系譜にあるのだけれど、この本もまさしくそれ。

いるかこそ虚を補ひて気を下す陰の萎ゆるに薬なりけり
うなぎこそ痔の薬なれつねにくへもろもろの瘡癒すものなり
犬はたゞ足膝冷ゆる人によし又霜腹をよく止むるもの

陰萎は勃起不全のこと。霜腹は冷えによる腹痛。中世から近世にかけてはこういった、ものの心得や発見(医学・養生・生活・職芸・家訓・道徳など)を和歌にまとめた本が多いらしい。それにしても肉食がすごい。いろんなものを食べていたんだなあ。カモメも食していたようす。おいしいのかしら。

駒鳥は冷なり淋病痰に吉 しはぶきをやめこゑいだすなり
わしの骨灰となしつゝ酒でのめ足手身ほねのくだけたによし
みゝづくの骨は眩暈の薬也くろやきにして酒でのむ也
あを鷺をあぶりてくへばもろもろの魚の毒をば解しにけるとぞ