昨夜はCinémathèque de Niceで剣戟スター阪東妻三郎主演の『雄呂血』を鑑賞。1925年の無声映画です。
会場に行く前は「歴史的な作品だし、剣戟も興味あるし、とりあえず観ておこうかな」くらいの気持ちでいたのに、いざ始まってみたら、背景、美術、所作、何もかもが端正で、ほんの少しも中途半端なショットが挟まらない。しかもこの上なく清潔。そう清潔なんです。映画を撮るということに対して気持ちがまっすぐ向かっていて少しも邪念がないの。また型にとらわれない殺陣の数々。なんて気高いのだろうと思いながら、その、めくるめく美しさを目で追っているうちにどんどん感極まって、最後の殺陣のシーンが始まるころにはもう涙が止まらなくなってしまいました。
弁士・坂本頼光氏の明るくて強い、娯楽性にあふれる声質も素晴らしかった。これまで見たことのある弁士は声作りや発声が今風で、生身の人柄を感じさせず、映画を平板にするものが多かったので、実のところ語りに関してはあまり期待していなかったんです。それが昨夜は、弁士が良いと映画がこんなに豊かな立体性を帯びるんだと開眼した次第。75分全編を見終わった瞬間の、まるでゴールのテープを全身で切るかのようなやりきった感(?)は、語りと音楽とがライヴじゃないと味わえない質のものでした。また聴きにゆこう。
会場に行く前は「歴史的な作品だし、剣戟も興味あるし、とりあえず観ておこうかな」くらいの気持ちでいたのに、いざ始まってみたら、背景、美術、所作、何もかもが端正で、ほんの少しも中途半端なショットが挟まらない。しかもこの上なく清潔。そう清潔なんです。映画を撮るということに対して気持ちがまっすぐ向かっていて少しも邪念がないの。また型にとらわれない殺陣の数々。なんて気高いのだろうと思いながら、その、めくるめく美しさを目で追っているうちにどんどん感極まって、最後の殺陣のシーンが始まるころにはもう涙が止まらなくなってしまいました。
弁士・坂本頼光氏の明るくて強い、娯楽性にあふれる声質も素晴らしかった。これまで見たことのある弁士は声作りや発声が今風で、生身の人柄を感じさせず、映画を平板にするものが多かったので、実のところ語りに関してはあまり期待していなかったんです。それが昨夜は、弁士が良いと映画がこんなに豊かな立体性を帯びるんだと開眼した次第。75分全編を見終わった瞬間の、まるでゴールのテープを全身で切るかのようなやりきった感(?)は、語りと音楽とがライヴじゃないと味わえない質のものでした。また聴きにゆこう。