2018-10-02

人生にオチはない





コンゴ出身の男性と、3ヶ月ほど同居生活をしたことがあった。

男性の職業はホテルマンで、仕事柄なのかなんなのか、職場からのいただきものが多かった。ある日は大きなナイロン袋を提げて帰ってきて、

「今日はボジョレーの解禁日だからって、お金持ちのお客さんがフォアグラを丸ごとくれたよ」

と、愉快そうに言った。

私は好奇心に乏しい性格で、凱旋門もエッフェル塔もいまだ知らず、何かフランスらしいことを体験する時は、だいたいいつも他人のおかげだ。この時も丸ごとのフォアグラを調理したことがなくて、何をどうやったらいいのかわからずにいたら、男性が俎板を出し、大きななまこみたいなフォアグラを厚めに切って、バター焼きにしてくれた。

男性のことは今でもよく思い出す。記憶が蘇るのは必ず、海辺の道路でバスを待っているときだ。